ラテ飼育格闘日記(68)

ワンコを飼いたいと考え始め、それが形となって現実味を帯びたとき私は愛犬とのシーンを3つほど思い描いていた。そのひとつがカフェで愛犬とくつろぐシーン、2つめはソファで本でも読んでいる脇に愛犬が寝そべっているシーン、そして背筋を伸ばして颯爽と歩く足元にピタリとついた愛犬がいる姿だった。 


まあ、たわいのない願望だが実際にそれまでワンコを飼ったことがなかったのでイメージは貧弱にならざるを得なかった(笑)。しかし3つのどのシーンもその根本は愛犬から信頼された自分の姿を目標としたものであったことは間違いない。 

ではラテと暮らしてから1年3ヶ月ほど経過した今はどうなったのか...。 
現在の住居はワンコを飼えることを第一条件として探した。次に交通の便だ...。無論コスト面は上限が決まっているから議論の余地はない(爆)...。 
ネットで色々な物件情報を集めていくつかの候補をピックアップしたが、それらの中にはマンションも戸建ても含まれていた。意外だったのは思った以上にワンコを飼える物件が少なかったことだ。 
戸建てはともかく、新築マンションの中にはワンコを飼うことを最初から考えて設計された物件が出始めている昨今だが、地域や予算といった条件面を考慮するとなかなか思うような物件はなかったのである。最終的にテラスハウス形式である現在の住居ともう一箇所のマンションを候補にし、まずはテラスハウス形式の物件を見てみようと地元の不動産屋に連絡を取り現地に出向いた。 
担当者の運転する車に乗せていただき、現在の物件を見たとき「これだ!」と思った(笑)。具体的には建物の位置的条件や間取りが好みに合致していたからだ。それに家の前には1キロ続く整備された遊歩道があった...。ワンコの散歩に最適ではないか! 
物件を後にする頃、すでに夕闇が迫り外灯が灯る時間になっていたが、心の中ではすでにここに住もうと決心していた...。したがって結局マンションの候補物件は確認も取らず一軒目で物件探しを終えてしまったのである。 

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※遊歩道に面した出窓の狭いたたきで爆睡するラテ(笑)


まあ、最寄りの駅から徒歩15分ほどかかることや、その道なりが長い間住んでいた商店街が連なる場所とは違い、夜間は少々暗いことなどが気になったが100%思い通りの物件などあるわけはない...。しかしワンコと生活をしたいというオトーサンの強い願望は天も味方してくれたように思う。 
なぜならその後あらためて色々と現地を調べてみたが、ワンコと歩き回るには最良の環境であることが次第に分かってきたのである。 
何はともあれワンコが飼える家探しを目指したが、正直回りの環境などには思いいたらなったものの幸い大きな公園はあるし、ワンコ仲間も沢山できた。そしてまだまだ足を伸ばせば魅力的な場所が多々あるというし、何よりも駅前にはワンコ連れができるカフェがあった。 

毎日とはいかないものの、夕方の散歩は上り坂や階段がある1キロメートルほどの道のりを歩き、駅ビルにあるそのカフェに向かう。途中小学校の校門前を通るのもラテにとっては大いなる楽しみとなってする。何故ならワンコ好きの子供たちに可愛がってもらえるからだ。 
さて、カフェのことはこれまで何回も話題にしたが、そのカフェでオトーサンは毎回コーヒーと小さめのデニッシュを注文し、30分ほどラテとゆっくりすることにしている。 
このカフェにいるうちのラテは不思議なほどイイコである。たまたま別のワンコがいたりすると吠え合うこともあるものの通常はまず吠えずに静かにしている。 
そのカフェのテラスに陣取るが、ここはたまにライブ演奏などがある。過日もキーボードを演奏しながらの弾き語りの時間にラテと入ったが、そんなときに吠えだしたのでは洒落にならない。しかしラテは不思議にお利口さんである。 
先日などは気候も暖かかったこともあり、カフェの椅子に座りながらラテの背中を撫でている途中でどうやら居眠りしてしまったらしい。突然ラテの「ウフッ」という声に起こされ目をさましたが、「ワン!」ではなく「ウフッ」というのがなかなか気が利いている...。ことほど左様にラテは大人しい。 
まあオトーサンのデニッシュのおこぼれやら、カプチーノコーヒーのミルクホーマー(泡)をもらえるのでご機嫌なのだが、なにしろカフェの近くまで来ると歩くスピードが速くなるラテなのだ(笑)。 

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※公園回りにある木蓮のつぼみもほころび、すでに咲き始めた木々もある


コーヒーも飲み終わり、トレーを店内に持ち込む際にラテはリードでしっかり手すりにつなぐが、オトーサンがトイレなどを済ませ、数分して戻って見るとラテはきちんとお座りして待っている。 

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※カフェの隅につながれてオトーサンを待つラテ


ある日、ラテとカフェを出ようとしたとき、近くの席にいた年配の女性が微笑みながら「いい子なんだねぇ...」と褒めてくれた。私は「ありがとうございます」と言いながら少々胸を張ってカフェを後にした。 

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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員