「シリコンバレーの百年」DVDの見どころ
新作ではないが、原題「SILICON VALLEY: A 100 YEAR RENAISSANCE」のDVDは何故に元果樹園地帯だったサンタクララバレーがシリコンバレーとして発展したのかを様々な分野で活躍した(している)IT界の巨人達にインタビューし検証した貴重なドキュメンタリーである。
DVD「シリコンバレーの百年」は、CBSのニュースキャスターであるウォルター・クロンカイト(Walter CronKite)を進行役としてシリコンバレー100年の歴史を中世のルネッサンスにオーバーラップさせながら紹介するドキュメンタリー作品だ。
それぞれがいつ頃インタービューした映像なのかは分からないが、すでに亡くなった人たちもいるし、短い時間だとしてもその映像を見、話が聞けることは大変貴重である。
すなわち本DVDはシリコンバレーで起きた技術ルネッサンスとそれらに関わった人々の物語であり、後述するように単なる成功物語では終わっていない興味深い一編である。

※「シリコンバレーの百年」DVDのパッケージ
それらの中にはヒューレッド・パッカードの創立者、ビル・ヒューレットとデイブ・パッカード、アタリ社創立者のノーラン・ブッシュネル、インテル創立者のゴードン・ムーアやアドビシステムズ創立者のジョン・ワーノックらの姿がある。またApple Computer社に関わる話題を提供する出演者らには当のスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの二人をはじめ、マイク・マークラやレジス・マッケナがおり、興味深い話が聞ける。
私にとって一番興味深かったのはこれまで多少の歴史は知っていたものの、シリコンバレー成功の一番の立役者がスタンフォード大学であったという事実だ。
同校は1891年10月、構想と建造に6年を費やして開講したがその大学はスタンフォード氏の15歳で死んだ息子を悼み寄贈したものだった。
それまでこの地、すなわちサンタクララ・バレーは農業の中心地であり、50年代半ばまで果樹園地帯で一面をチェリーやプラムなどの果樹園で覆われた地域だった。
そして元米国防長官でESL社創立者のウィリアム・ペリーは、シリコンバレー成功における最大の功労者はスタンフォード大学工学部長のフレッド・ターマンだという。
ターマンは同大学を一流の技術系大学にし、この果樹園地帯だったサンタクララ・バレーにハイテク産業を誘致した人物だからである。
当時の関係者の話を聞く限り、いかにスタンフォード大学が柔軟な発想により運営されていたかがわかって興味深い。



※1990年に私自身が立ち寄ったスタンフォード大学を8mmビデオで撮影した映像
スティーブ・ジョブズも髭面の顔で出演しているが、彼はブルーボックスの話をし、これがなかったらアップルもなかったと発言している。勿論スティーブ・ウォズニアックも出演しており、Appleの成功はひとえにマイク・マークラにあるが、マスコミは若い二人の成功物語の方が面白いとしてマークラを過小評価したと話しているのは興味深い。
当のマイク・マークラも登場し、ウォズニアックたちに始めて見せられたApple Iの印象などを語っている。
またAppleの6色カラーロゴをデザインしたコンサルタント会社運営のレジス・マッケナはパーソナルコンピュータはカウンターカルチャー(反体制運動)のひとつとして生まれたと話す。最初に関わったひとたちは髪を長く伸ばしたソフト開発者かホビイストだったと...。そして彼らの意識の中にはメインフレームの世界との区別があり、無論メインフレームは権威や中央管理の象徴でありパーソナルコンピュータは個人の自由を意味していたという。そしてアップルはこのメインフレームとの対比の中で生まれたと...。
しかし私だけではないと思うが当時日本の我々も米国のこうしたカルチャーや雰囲気を敏感に感じ、受け取ってはいたはずだがカウンターカルチャーの意識は薄かったと思わざるを得ない。確かに個人がコンピュータを所有できる時代の凄さとある意味でメインフレームを超える柔軟な活用ができるパーソナルコンピュータを持った意義は十分に感じていたが反体制といった意識はほとんどなかった(笑)。まあここいらが現在にも至る米国の立役者と我々...完成された製品を利用する者たちとの意識の差なのかも知れない(^_^)。
DVD後半は、1957年フェアチャイルド社創立の物語なども含めて投資家を見つけ資金調達をしたかといった苦労話が続くのも興味深い。そしてやはりというか銀行側の一方的で圧力的な交渉のやりかたなどを聞くことが出来、私自身もマイクロ企業ながら銀行との交渉に苦労してきた一人として、どこでも同じなんだなあ...と苦笑せざるを得ない...(笑)。
また面白いといってはなんだが、ヒューレット・パッカードの創設者の一人、ビル・ヒューレットの話しは我々にも勇気を与えてくれ、励みになるのではないだろうか(^_^)。
何故なら彼がいうにはHP創立当時の話として「我々は二人とも妻が仕事を持っていたおかげでやっていくことができた」と話し、さらに当面の目標は「家に金を入れること」だったと振り返っている。あのHPも最初はそんな感じだったのだ...。
さらにオラクルのラリー・エリソンが語るには、投資家はソフトウェアと聞くと会ってもくれず、帰るときには(応接室の)雑誌を盗んでいないか調べられたと屈辱的な当時を振り返り、結局投資を受けずに自分たちで資金をかき集めたと話していることも興味深い。
サン・マイクロシステムズ社CEOのスコット・マクニーリも過去12年間で10回以上の会社存続の危機に陥ってきたと話し、資金繰りのピンチは数回合ったと笑う。
こうした一般的な成功物語では語られない話を多々本人達から聞くことができる本映像はやはり貴重であり、IT産業やパーソナルコンピュータあるいはその歴史に興味のある方は必見である。
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シリコン・バレーの百年 [DVD]
商品番号:NODD-00032
全編:約90分 日本語字幕
定価:3,990円(税込)
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DVD「シリコンバレーの百年」は、CBSのニュースキャスターであるウォルター・クロンカイト(Walter CronKite)を進行役としてシリコンバレー100年の歴史を中世のルネッサンスにオーバーラップさせながら紹介するドキュメンタリー作品だ。
それぞれがいつ頃インタービューした映像なのかは分からないが、すでに亡くなった人たちもいるし、短い時間だとしてもその映像を見、話が聞けることは大変貴重である。
すなわち本DVDはシリコンバレーで起きた技術ルネッサンスとそれらに関わった人々の物語であり、後述するように単なる成功物語では終わっていない興味深い一編である。

※「シリコンバレーの百年」DVDのパッケージ
それらの中にはヒューレッド・パッカードの創立者、ビル・ヒューレットとデイブ・パッカード、アタリ社創立者のノーラン・ブッシュネル、インテル創立者のゴードン・ムーアやアドビシステムズ創立者のジョン・ワーノックらの姿がある。またApple Computer社に関わる話題を提供する出演者らには当のスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの二人をはじめ、マイク・マークラやレジス・マッケナがおり、興味深い話が聞ける。
私にとって一番興味深かったのはこれまで多少の歴史は知っていたものの、シリコンバレー成功の一番の立役者がスタンフォード大学であったという事実だ。
同校は1891年10月、構想と建造に6年を費やして開講したがその大学はスタンフォード氏の15歳で死んだ息子を悼み寄贈したものだった。
それまでこの地、すなわちサンタクララ・バレーは農業の中心地であり、50年代半ばまで果樹園地帯で一面をチェリーやプラムなどの果樹園で覆われた地域だった。
そして元米国防長官でESL社創立者のウィリアム・ペリーは、シリコンバレー成功における最大の功労者はスタンフォード大学工学部長のフレッド・ターマンだという。
ターマンは同大学を一流の技術系大学にし、この果樹園地帯だったサンタクララ・バレーにハイテク産業を誘致した人物だからである。
当時の関係者の話を聞く限り、いかにスタンフォード大学が柔軟な発想により運営されていたかがわかって興味深い。



※1990年に私自身が立ち寄ったスタンフォード大学を8mmビデオで撮影した映像
スティーブ・ジョブズも髭面の顔で出演しているが、彼はブルーボックスの話をし、これがなかったらアップルもなかったと発言している。勿論スティーブ・ウォズニアックも出演しており、Appleの成功はひとえにマイク・マークラにあるが、マスコミは若い二人の成功物語の方が面白いとしてマークラを過小評価したと話しているのは興味深い。
当のマイク・マークラも登場し、ウォズニアックたちに始めて見せられたApple Iの印象などを語っている。
またAppleの6色カラーロゴをデザインしたコンサルタント会社運営のレジス・マッケナはパーソナルコンピュータはカウンターカルチャー(反体制運動)のひとつとして生まれたと話す。最初に関わったひとたちは髪を長く伸ばしたソフト開発者かホビイストだったと...。そして彼らの意識の中にはメインフレームの世界との区別があり、無論メインフレームは権威や中央管理の象徴でありパーソナルコンピュータは個人の自由を意味していたという。そしてアップルはこのメインフレームとの対比の中で生まれたと...。
しかし私だけではないと思うが当時日本の我々も米国のこうしたカルチャーや雰囲気を敏感に感じ、受け取ってはいたはずだがカウンターカルチャーの意識は薄かったと思わざるを得ない。確かに個人がコンピュータを所有できる時代の凄さとある意味でメインフレームを超える柔軟な活用ができるパーソナルコンピュータを持った意義は十分に感じていたが反体制といった意識はほとんどなかった(笑)。まあここいらが現在にも至る米国の立役者と我々...完成された製品を利用する者たちとの意識の差なのかも知れない(^_^)。
DVD後半は、1957年フェアチャイルド社創立の物語なども含めて投資家を見つけ資金調達をしたかといった苦労話が続くのも興味深い。そしてやはりというか銀行側の一方的で圧力的な交渉のやりかたなどを聞くことが出来、私自身もマイクロ企業ながら銀行との交渉に苦労してきた一人として、どこでも同じなんだなあ...と苦笑せざるを得ない...(笑)。
また面白いといってはなんだが、ヒューレット・パッカードの創設者の一人、ビル・ヒューレットの話しは我々にも勇気を与えてくれ、励みになるのではないだろうか(^_^)。
何故なら彼がいうにはHP創立当時の話として「我々は二人とも妻が仕事を持っていたおかげでやっていくことができた」と話し、さらに当面の目標は「家に金を入れること」だったと振り返っている。あのHPも最初はそんな感じだったのだ...。
さらにオラクルのラリー・エリソンが語るには、投資家はソフトウェアと聞くと会ってもくれず、帰るときには(応接室の)雑誌を盗んでいないか調べられたと屈辱的な当時を振り返り、結局投資を受けずに自分たちで資金をかき集めたと話していることも興味深い。
サン・マイクロシステムズ社CEOのスコット・マクニーリも過去12年間で10回以上の会社存続の危機に陥ってきたと話し、資金繰りのピンチは数回合ったと笑う。
こうした一般的な成功物語では語られない話を多々本人達から聞くことができる本映像はやはり貴重であり、IT産業やパーソナルコンピュータあるいはその歴史に興味のある方は必見である。
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シリコン・バレーの百年 [DVD]
商品番号:NODD-00032
全編:約90分 日本語字幕
定価:3,990円(税込)
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