「大塚国際美術館」ひとり旅〜(番外) 一番印象に残った絵画とは?
この度は大塚国際美術館にひとり旅し、駆け足ながら1,000点にもなる展示作品群を鑑賞する機会を得た。無論陶板による実サイズの展示だが、それぞれは皆素晴らしかった。今回はその膨大な作品群の中から最も印象的で気に入った作品のお話しである。しかしその結果には自分でも少々驚いているのだ…。
昔、ボストン美術館やニューヨーク近代美術館などにいったとき、同行者らとお遊びで「展示作品のうち、1枚持ち帰ることができるとすればどの作品にする?」という与太話をすることがお約束であった(笑)。そして私の場合、そのほとんどがピカソの作品だったと記憶している…。
さて今回大塚国際美術館に展示されていた作品の中で「1枚持ち帰ることができるとすれば…」という私の答えは自分でも意外ながらイギリスの画家、ヒュー・ゴールドウィン・リヴィエール(1869-1956)の「エデンの園」という作品であった。その概要は「『大塚国際美術館』ひとり旅 (8) 〜バロック期から近代に至る馴染みの作品たち」の中でご紹介した。

※大塚国際美術館で初めて出会ったヒュー・ゴールドウィン・リヴィエール(1869-1956)作「エデンの園」
余談になるが、大塚国際美術館に限ったことではないものの展示数が多い場合、残念ながら一点一点の作品の前で立ち止まって鑑賞する十分な時間的余裕はない。作品が展示されている壁面を眺めながら進行方向に歩きながらの鑑賞であり、そうした中で何らかの印象深い作品、「おっ!?」と思う作品に出会ったときに立ち止まるというのが私の流儀でもある。
しかしすべての鑑賞時に意識が高揚しているわけではなく、正直大切な作品を見逃してしまう可能性もあるが、反対に作品の方からまるで声をかけられた感じで立ち止まるときもある。
ヒュー・ゴールドウィン・リヴィエール作の「エデンの園」はこれまでまったく知らない作品だったが、絵の中の女性の笑顔がまるで私に向けられたような気持ちがして足を止めたのであった(笑)。

※彼女の眩いばかりの笑顔が見る者を魅惑する...
しか今回一番気に入った作品がなぜピカソではないのか…。あるいはレオナルドまたはジョットではなかったのか...を説明するのは難しいが、この近代絵画「エデンの園」はまったく未知の作品だっただけに受けたインパクトが強かったのだ…。そしてそのインパクトの質もこれまで多くの絵画から受けたものとは異質なものだった。
まあ簡単にいうなら一目惚れだ(笑)。そして一目惚れに理屈はない…。
早速帰宅した後、ウェブでヒュー・ゴールドウィン・リヴィエールおよび作品「エデンの園」について調べてみたが、意外なほど情報は少なくそれがかえって好奇心という火に油をそそぐことになった。
このオリジナル作品はイギリス・ロンドンにあるギルドホール・アート・ギャラリーに収蔵されている作品だそうで、縦1232 × 横94センチという小振りな作品である。制作は1900年という。
肝心の絵の情景は晩秋の冷え冷えとした空気を漂わせているロンドンの公園内の一角、カーブになっている道を歩く男女の姿を描いたものだ。絵の空気感から察するにそろそろ夕闇が迫ってくる時刻なのかも知れない。
絵をよく見ると男が2本の傘を束ねて左手で持っている。その傘の先からしずくが流れ落ちているところや路面が濡れている所を見ると、直前まで雨が降っていたものと思われる。
そしてなによりもこの絵の最大の魅力は男性の顔を見上げている女性の表情である。彼女の晴れ晴れとした微笑みは見る者すべてを幸せな気持ちにさせるほど素晴らしい。反面男性の表情は分からないが、彼女の笑顔を見れば男の方も彼女に優しい笑みを返しているに違いない。
好みという問題も大きいだろうが、少なくとも個人的な感想として女性が描かれた絵画は星の数ほどもあるだろうし、事実これまでにも多々鑑賞してきた。しかしこの「エデンの園」に描かれた女性の表情ほどずっと眺めていたい…と思わせる表情は少ないように思う。
しかし疑問としてはなぜこの絵のタイトルが「エデンの園」なのか...ということだ…。
展示作品の解説を要約するなら「1度は追放された2人が、罪をあがない、エデンの園に帰ることを許された現代のアダムとイブ」を表しているということらしい。正直分かったようで分からない解説でもあるが、2人が愛し合い、幸せになるということであるなら目出度い絵でもある。
だとすればこの時刻は夕刻ではなく、これから明るい太陽の日射しが2人に降り注ぐ早朝だという想像も出来るかも知れない。それに、もし彼女らがエデンの園に帰ることを許された現代のアダムとイブであり、文字通り楽園で幸せに生きることを意味するなら、アダムとイブの末裔であろう1人として是非是非あやかりたいと願う。
ということで帰宅してから大塚国際美術館のミュージアムグッズ店へ電話を入れ、「エデンの園」の小さな額付陶板画を注文した。

※大塚国際美術館ミュージアムショップから届いた陶板画のパッケージも素敵だ
当該の絵は額とマットがあるから少しは見栄えがするものの、陶板自体はほぼ葉書サイズという小さなものだ。サイズが極小な分だけ彼女の笑顔も小さいが(笑)、ともあれこれが今回の旅の唯一の土産であり、多くの撮影した写真を別にすれば大切なお宝となった。

※大塚国際美術館ミュージアムショップから届いた「エデンの園」の額付陶板画
さらに現在この絵は愛用のiPhone 5の壁紙として設定し日々楽しんでもいる。
■大塚国際美術館
昔、ボストン美術館やニューヨーク近代美術館などにいったとき、同行者らとお遊びで「展示作品のうち、1枚持ち帰ることができるとすればどの作品にする?」という与太話をすることがお約束であった(笑)。そして私の場合、そのほとんどがピカソの作品だったと記憶している…。
さて今回大塚国際美術館に展示されていた作品の中で「1枚持ち帰ることができるとすれば…」という私の答えは自分でも意外ながらイギリスの画家、ヒュー・ゴールドウィン・リヴィエール(1869-1956)の「エデンの園」という作品であった。その概要は「『大塚国際美術館』ひとり旅 (8) 〜バロック期から近代に至る馴染みの作品たち」の中でご紹介した。

※大塚国際美術館で初めて出会ったヒュー・ゴールドウィン・リヴィエール(1869-1956)作「エデンの園」
余談になるが、大塚国際美術館に限ったことではないものの展示数が多い場合、残念ながら一点一点の作品の前で立ち止まって鑑賞する十分な時間的余裕はない。作品が展示されている壁面を眺めながら進行方向に歩きながらの鑑賞であり、そうした中で何らかの印象深い作品、「おっ!?」と思う作品に出会ったときに立ち止まるというのが私の流儀でもある。
しかしすべての鑑賞時に意識が高揚しているわけではなく、正直大切な作品を見逃してしまう可能性もあるが、反対に作品の方からまるで声をかけられた感じで立ち止まるときもある。
ヒュー・ゴールドウィン・リヴィエール作の「エデンの園」はこれまでまったく知らない作品だったが、絵の中の女性の笑顔がまるで私に向けられたような気持ちがして足を止めたのであった(笑)。

※彼女の眩いばかりの笑顔が見る者を魅惑する...
しか今回一番気に入った作品がなぜピカソではないのか…。あるいはレオナルドまたはジョットではなかったのか...を説明するのは難しいが、この近代絵画「エデンの園」はまったく未知の作品だっただけに受けたインパクトが強かったのだ…。そしてそのインパクトの質もこれまで多くの絵画から受けたものとは異質なものだった。
まあ簡単にいうなら一目惚れだ(笑)。そして一目惚れに理屈はない…。
早速帰宅した後、ウェブでヒュー・ゴールドウィン・リヴィエールおよび作品「エデンの園」について調べてみたが、意外なほど情報は少なくそれがかえって好奇心という火に油をそそぐことになった。
このオリジナル作品はイギリス・ロンドンにあるギルドホール・アート・ギャラリーに収蔵されている作品だそうで、縦1232 × 横94センチという小振りな作品である。制作は1900年という。
肝心の絵の情景は晩秋の冷え冷えとした空気を漂わせているロンドンの公園内の一角、カーブになっている道を歩く男女の姿を描いたものだ。絵の空気感から察するにそろそろ夕闇が迫ってくる時刻なのかも知れない。
絵をよく見ると男が2本の傘を束ねて左手で持っている。その傘の先からしずくが流れ落ちているところや路面が濡れている所を見ると、直前まで雨が降っていたものと思われる。
そしてなによりもこの絵の最大の魅力は男性の顔を見上げている女性の表情である。彼女の晴れ晴れとした微笑みは見る者すべてを幸せな気持ちにさせるほど素晴らしい。反面男性の表情は分からないが、彼女の笑顔を見れば男の方も彼女に優しい笑みを返しているに違いない。
好みという問題も大きいだろうが、少なくとも個人的な感想として女性が描かれた絵画は星の数ほどもあるだろうし、事実これまでにも多々鑑賞してきた。しかしこの「エデンの園」に描かれた女性の表情ほどずっと眺めていたい…と思わせる表情は少ないように思う。
しかし疑問としてはなぜこの絵のタイトルが「エデンの園」なのか...ということだ…。
展示作品の解説を要約するなら「1度は追放された2人が、罪をあがない、エデンの園に帰ることを許された現代のアダムとイブ」を表しているということらしい。正直分かったようで分からない解説でもあるが、2人が愛し合い、幸せになるということであるなら目出度い絵でもある。
だとすればこの時刻は夕刻ではなく、これから明るい太陽の日射しが2人に降り注ぐ早朝だという想像も出来るかも知れない。それに、もし彼女らがエデンの園に帰ることを許された現代のアダムとイブであり、文字通り楽園で幸せに生きることを意味するなら、アダムとイブの末裔であろう1人として是非是非あやかりたいと願う。
ということで帰宅してから大塚国際美術館のミュージアムグッズ店へ電話を入れ、「エデンの園」の小さな額付陶板画を注文した。

※大塚国際美術館ミュージアムショップから届いた陶板画のパッケージも素敵だ
当該の絵は額とマットがあるから少しは見栄えがするものの、陶板自体はほぼ葉書サイズという小さなものだ。サイズが極小な分だけ彼女の笑顔も小さいが(笑)、ともあれこれが今回の旅の唯一の土産であり、多くの撮影した写真を別にすれば大切なお宝となった。

※大塚国際美術館ミュージアムショップから届いた「エデンの園」の額付陶板画
さらに現在この絵は愛用のiPhone 5の壁紙として設定し日々楽しんでもいる。
■大塚国際美術館
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