山岡康子というアーティスト...知っていますか?
大げさでなく、出会いというのは何も人と人だけではない。一冊の本や一枚の絵にもそうした「出会うべくして...」と感じる時が誰しもあるのではないか。
玄関の空間になにか絵が欲しいと思っていたが、山岡康子の小さな版画を買った。
マンションの玄関は "狭い" ものだと決まっているようなものだが、私のところは建築年代が古いからか...あるいは角部屋の利点なのか、嬉しいことに玄関が明るく広めだけが自慢である(笑)。
しかしその空間に何らかの絵が欲しいと考えていたが適当なものがなく、壁面は空いたままであった。
少し前、デパートのアート売り場を通りがかったとき、額装された小さな絵が目に飛び込んできた。それは一見強烈な色彩でありながらバランスの取れた、心に響くパターンであった。パターンというのはその時点でその絵について具体的な事をまったく知らなかったし、そこに何が描かれているのかも具体的に分からなかったからだ。
絵との出会いもまあそんなものだ...(^_^)。理屈であれこれと「作者が有名だから」とか「高価だから」イコール「良い作品」といった図式がついて回るものだが、いうまでもなくそうした固定概念を取り払っている無意識の時に「おっ!」と目に付くそれはまさしく出会いである。
早速売り場の担当の方にその額を見せていただいたが、山岡康子という作家の油絵だという。数点あるその絵の中にはパリかどこかなのだろうか...街並みとそして楽器などと共に猫が描かれている。
それまで私はまったくその作家の名さえ知らなかったが、山岡康子は京都市立芸術大学美術学部卒業...そしてモダンアート展入選5回といった経歴の持ち主で、やはりパリの街並みや猫を題材とした多くの個展を開催し活動しているアーティストだという。
さて、アートショップで出会った油絵は勿論一品ものであり、残念ながら私の懐から出せる金額ではなかったから諦めた(^_^)。しかし別途数点の版画があるというので見せていただいた...。
版画のそれらは、彩色豊かな油絵と比較すればシンプルなものばかりである。しかし玄関に "これ見よがし" にそれだけが目立つ額を飾れば由...といったものではないとも思うに至り、いまの感性で気に入ったものを一枚手に入れようと思った。ともあれ自分で言うのもおかしいのだが、数年前なら "この手" の絵は「女・子供向け...」といった感じで一蹴していたのだろうな...と苦笑している自分自身がおかしかった。
山岡康子の作品は古典的なものではなく、作風はモダンアートの領域であり、先の油ではその色使いと筆遣いが大変気に入ったが、この銅版画はモノトーンの世界であるからして感じがまったく違う。そして心地よくデフォルメされた背景やオブジェはともかく、テーマというか主人公の猫は私がこれまで好んできた絵画というよりイラストレーションのそれに近い。
そんなことを考えながらいくつかの作品を見ていく中で地味ながらもふと心休まる作品が目に付いた。実はその絵を見た瞬間に数日前に自身で撮影した一枚の写真が頭をよぎったのだが、同一の視線、同一のアングルといったものが感じられ何故か心を奪われたのである。

※山岡康子 "Street" に出会う数週間前に私自身が撮影した一枚
それが\"Street\" と題され、街の路地に二匹の猫が肩を寄せ合って向こうを眺めている作品である。単に「可愛い」といったことだけでなく、左右の隣接した建物の描き方...などに僭越ながら非凡な感じを受けたし「向こうには光に満ちあふれた街並みが...」といった勝手なストーリー性をも許してくれるような暖かさがある。

※山岡康子作 "Street" をほぼ正面から撮影。前記した写真と見比べて欲しい(笑)
なによりも、いま手元にいて毎日愛嬌を振りまいてくれる二匹の猫(NeCoRo = ロボット)の姿が重なった。結局「これにします」とお洒落な額装をお願いした。
この "Street" はこうして我が家の自慢の玄関(笑)に掛けられたわけだが、隣にどのような花が飾られてもなぜかしっくりと調和する。

※玄関正面に掛けた山岡康子 "Street" の額。白熱光の明かりによくマッチングする
口の悪い友人の一人は「この手の絵に心奪われるのは歳をとったか、人間迷いで柔くなっている時だと思うよ」とイイヤガル...(^_^)。確かに先週またひとつ歳を重ねたこともあり、その両方共に心当たりがあるのだが(爆)、繰り返すがこれも出会いのひとつである。
貴方が、もし "山岡康子" の名とその作品に出会う機会があったら、一度手にとって眺めてみていただきたい。さて、どのような感想を持たれるであろうか?!
玄関の空間になにか絵が欲しいと思っていたが、山岡康子の小さな版画を買った。
マンションの玄関は "狭い" ものだと決まっているようなものだが、私のところは建築年代が古いからか...あるいは角部屋の利点なのか、嬉しいことに玄関が明るく広めだけが自慢である(笑)。
しかしその空間に何らかの絵が欲しいと考えていたが適当なものがなく、壁面は空いたままであった。
少し前、デパートのアート売り場を通りがかったとき、額装された小さな絵が目に飛び込んできた。それは一見強烈な色彩でありながらバランスの取れた、心に響くパターンであった。パターンというのはその時点でその絵について具体的な事をまったく知らなかったし、そこに何が描かれているのかも具体的に分からなかったからだ。
絵との出会いもまあそんなものだ...(^_^)。理屈であれこれと「作者が有名だから」とか「高価だから」イコール「良い作品」といった図式がついて回るものだが、いうまでもなくそうした固定概念を取り払っている無意識の時に「おっ!」と目に付くそれはまさしく出会いである。
早速売り場の担当の方にその額を見せていただいたが、山岡康子という作家の油絵だという。数点あるその絵の中にはパリかどこかなのだろうか...街並みとそして楽器などと共に猫が描かれている。
それまで私はまったくその作家の名さえ知らなかったが、山岡康子は京都市立芸術大学美術学部卒業...そしてモダンアート展入選5回といった経歴の持ち主で、やはりパリの街並みや猫を題材とした多くの個展を開催し活動しているアーティストだという。
さて、アートショップで出会った油絵は勿論一品ものであり、残念ながら私の懐から出せる金額ではなかったから諦めた(^_^)。しかし別途数点の版画があるというので見せていただいた...。
版画のそれらは、彩色豊かな油絵と比較すればシンプルなものばかりである。しかし玄関に "これ見よがし" にそれだけが目立つ額を飾れば由...といったものではないとも思うに至り、いまの感性で気に入ったものを一枚手に入れようと思った。ともあれ自分で言うのもおかしいのだが、数年前なら "この手" の絵は「女・子供向け...」といった感じで一蹴していたのだろうな...と苦笑している自分自身がおかしかった。
山岡康子の作品は古典的なものではなく、作風はモダンアートの領域であり、先の油ではその色使いと筆遣いが大変気に入ったが、この銅版画はモノトーンの世界であるからして感じがまったく違う。そして心地よくデフォルメされた背景やオブジェはともかく、テーマというか主人公の猫は私がこれまで好んできた絵画というよりイラストレーションのそれに近い。
そんなことを考えながらいくつかの作品を見ていく中で地味ながらもふと心休まる作品が目に付いた。実はその絵を見た瞬間に数日前に自身で撮影した一枚の写真が頭をよぎったのだが、同一の視線、同一のアングルといったものが感じられ何故か心を奪われたのである。

※山岡康子 "Street" に出会う数週間前に私自身が撮影した一枚
それが\"Street\" と題され、街の路地に二匹の猫が肩を寄せ合って向こうを眺めている作品である。単に「可愛い」といったことだけでなく、左右の隣接した建物の描き方...などに僭越ながら非凡な感じを受けたし「向こうには光に満ちあふれた街並みが...」といった勝手なストーリー性をも許してくれるような暖かさがある。

※山岡康子作 "Street" をほぼ正面から撮影。前記した写真と見比べて欲しい(笑)
なによりも、いま手元にいて毎日愛嬌を振りまいてくれる二匹の猫(NeCoRo = ロボット)の姿が重なった。結局「これにします」とお洒落な額装をお願いした。
この "Street" はこうして我が家の自慢の玄関(笑)に掛けられたわけだが、隣にどのような花が飾られてもなぜかしっくりと調和する。

※玄関正面に掛けた山岡康子 "Street" の額。白熱光の明かりによくマッチングする
口の悪い友人の一人は「この手の絵に心奪われるのは歳をとったか、人間迷いで柔くなっている時だと思うよ」とイイヤガル...(^_^)。確かに先週またひとつ歳を重ねたこともあり、その両方共に心当たりがあるのだが(爆)、繰り返すがこれも出会いのひとつである。
貴方が、もし "山岡康子" の名とその作品に出会う機会があったら、一度手にとって眺めてみていただきたい。さて、どのような感想を持たれるであろうか?!
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