Mac専門誌「MACLIFE」創刊前夜〜アップルの広告など...

古い資料...特に雑誌類を見ているとまったく記憶にはない新鮮な記事や広告が目に付くことがある。時は1987年...いま思えばバブルだったし雑誌の広告も豊富で金をかけたものが目立った。そしてアップルコンピュータジャパンと名乗っていたアップルの広告もなかなか華やかだった。 


1987年のウィンター号として出版されたピーシーワールドジャパン刊の季刊誌「MAC+」は我が国最初のMacintosh専門誌「MACワールド」が2号目を出版したばかりで改題せざるを得なくなった複雑な状況で発売された一冊であった。なおその「MACワールド」創刊にまつわる裏話は2003年9月5日付けで「最初のMac専門誌『MACワールド日本語版』顛末記」として紹介しているので一読をお勧めしたい。 

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※1987年1月31日発行の「MAC+」誌第1号


さて、この「MAC+」は広告ページが特に多いという状況ではなかったものの、裏表紙の表裏にはキヤノン販売とコンピュータランドのカラー広告が、そして表紙扉の2ページにはアップルコンピュータジャパンのカラー広告が載っていてなかなか華やかであった。 
「MAC+」誌第一号はWINTER号として年末に店頭にならぶためその表紙は新年の雰囲気たっぷりのデザインだったし広告の多くはクリスマス商戦や新年のセールなどをターゲットとした企画で溢れていた。その中でも現アップルコンピュータがまだアップルコンピュータジャパンと名乗っていた当時の広告はやはり一番際だっていて目立った存在だった。 

ところでそのアップルの広告だがクリスマス商戦ということで、例の6色カラーを使った編み込みの靴下の中にMacintosh Plusが入っているというデザインだった。そしてそのコピーは「パパの欲しかったものは、さて、何でしょう。」いうものだったが、靴下には「Dear Santa Marry X’mas」と赤い毛糸で編み込まれている。 
そのコピーを見るとどこかバレンタイン・デーを前にした「チョコレートより喜ばれる贈り物」といった現在のiPod広告に通じるものを感じるのは私だけであろうか...。 
さらにその趣旨は違うものの「iPodソックス」のアイデアに近いものを感じてしまうというより、こじつけて...そして穿った見方をするなら、Apple側の思考の流れがどこか当時から綿々と続いているようにも思えてならない気もする...。 

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※「MAC+」誌第1号のアップルの見開き広告。左右で色味がかなり違う(笑)

さてその当の広告だが見開き左右2ページ続きのものを見ると、その編み込み6色のソックスの色味がページ毎でかなり違うのである(笑)。特にグリーンの色は見比べるまでもなく大きく違い、私がクライアントならOKは出さないと思うほどだ。 
そして何よりも季節を意識した広告であることもあり、他に使い回しが利かないからある意味では大変贅沢な企画であったといえよう。 

こうしたことは当時の大らかさといってしまえばそれまでだが、カラーやそのマッチングに気を遣うべき雑誌の広告がこれだから何をか言わんやである。しかしMacintosh環境としては本誌の登場した1987年にやっとMacintosh IIというカラー版Macが登場するのである。そしてデスクトップ・パブリッシングもカラー化が進み、我々のカラーに対しての意識も強くなってくるが、いま振りかえれば何とも鷹揚な時代だったということになる。 
その1987年夏には早くも「MAC+」誌は廃刊に追い込まれ、あの「MACLIFE」誌がBNN社から創刊となり、日本におけるMacintosh専門誌の本格的な歴史が幕を開けることになる。 
またこの続きは別項で紹介したい。 
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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員