ラテ飼育格闘日記(781)

今あたりが一年でも一番過ごしやすい季節だと思うが、ここのところ雨が多い。やはり一日何度かラテを外に連れ出す身としては憂鬱になってくる。すると気分が顔に出るばかりか態度や動作にも影響を及ぼすことになりがちだ。だからオトーサンは体調が悪くても外面は機嫌良く振る舞うように努力している(笑)。



長い間、人間やってきてビジネスにも身を投じてきた者として日々心してきたことがいくつかある。様々な人たちと出会い、切磋琢磨してきた中でオトーサンが最も嫌いな部類の人はいつも機嫌が悪い奴だ。本人は意識しているのかどうか分からないが、例えば機嫌の悪い上司、機嫌の悪い旦那、あるいは女房となれば実に始末が悪いものだ(笑)。

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※散歩から戻り、機嫌の良い顔してます


まあ、誰しも人間だからしていつもニコニコとばかりしてはいられないとは思うが、人と接する際には機嫌の悪い顔はしてはならないとオトーサンは肝に命じてきた。
特に人の上に立つ立場の者はそうあるべきだと思うし、そうあらねばならない。
オトーサンが現役時代、数えられるはずもないが一瞬一瞬にすれ違った方たちを含めれば本当に数千人の方と言葉を交わしているはずだが、それらの中には実に嫌な人間もいた…。

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※玄関を出て階段を使おうとしたらエレべーターが良いと拒否


例えば開発依頼の為に呼ばれ、我が国有数の超大手企業の課長に会いに言ったとき、初対面のそのときからまあまあ不機嫌な顔でオープン会議室のテーブルに座る…。それ以前になにがあったかなかったかは知らないが同席した担当者たちが見るからに申し訳ないといった表情をしている。
不機嫌で威圧的に相手と対峙することが己の威厳を見せることだと勘違いしているのか、それとも単なる馬鹿なのか(笑)。

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※機嫌良くコンタクト!


ラテ日記の場でビジネスの顛末を詳しくお話しするつもりはないが、これまでで一番不機嫌の相手としてオトーサンの記憶に残っている事例なので話しを続けたい…。
さて、それでなくともその時の会議は重要な場面だった。何しろ当該超大手が別の企業に開発依頼していたソフトウェアが頓挫失敗し、困ったその超大手企業はアップルの日本法人に泣きついたという。結局アップルは私の会社なら何とかしてくれるだろうということで紹介され、紆余曲折の結果請け負うことになった。その場は途中経過説明を含む納品だったのである。
相手の規模は本来私の超マイクロ企業が直接取引できる相手ではなく、孫請けあたりが普通といっても良いほどの大企業だったのだ。

要約すれば、本来出来ないことをやらねばならないという難題だったが、幸い裏技で問題点を解決した私は出来ることと出来ないことを担当者に説明し契約にこぎ着けた。そしてその場は途中説明の納期の場だった。無論担当者たちには事前にプレゼンを終え了解をもらっていたが、当の課長はこれでは受領印は押せないと不遜な態度を続けた。
でもねえ…オトーサンだってサラリーマンを長く体験してから起業したいわば百戦錬磨の仕事人だったから、どう振る舞ったらこの場を収められるかを一瞬で考えた…。
ともあれ受領印をもらわなければ金が入らず、仕事の一端をお願いしていた仲間にも約束した金が払えない。

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※ラテを可愛がってくださるファミリーのご主人と…


前記したとおり、その場は個室の会議室ではなく広いオープンな場所で、他にもいくつかのテーブルが埋まっていた。それを確認したオトーサンは両手でテーブルを「バン!」と叩いた。無論周りの目は何ごとかとこちらに集中する。そしてオトーサンは「結構でしょう。お約束通りの仕様で仕上げたのに検収できないとあらば、これまでお納めした経過はもとより契約を白紙にさせていただきましょう」と啖呵を切った。その背景にはこの事案は当時私の会社でしかなし得ないことを確信していたし、取引先の担当者たちもそれを十分認識していたからでもあった。

当の課長にとっては意外な展開だったのだろう…。これまでにもいくつかの場面で同じような無理難題を通してきたのかも知れないが、契約を白紙にされて困るのは自分たちだということは理解していたようだし、担当者たちの狼狽えも効いたようだ。何よりも周りの目が自分の行動に集約していることに困惑したようだった。そして体を椅子から起こし、無言で受領のサインをした…。
帰りのエレベータを待っているとき、仲間の一人が「さすがでした」と誉めてくれたが、こちらも必死なのだ。ともあれあの手の不機嫌野郎は威張っているくせに周りの目を気にすることを経験上承知していたからだ。

別にオトーサンの武勇伝を紹介するつもりではなく、世の中にはこうした理不尽な者も存在することを知っていただきたいと思ったまでのこと。この他にも不機嫌顔で面談するのがバイヤーのセオリーとでも思っているかのような表情で面談する奴も結構いたし、現在でもそうした不機嫌野郎に悩まされている人たちも多いに違いない。
世の中、怒りっぽい人、理屈っぽい人、無口な人、饒舌な人、何でも反対する人などなど様々な人たちがいるが、オトーサンは不機嫌を表に出す人を一番軽蔑している。

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※土砂降りの散歩から戻り、まずはタオルで乾拭きしているところ。ラテも気持ちが良いからか大人しい


こうした人はラテと散歩をしている際にも出会うことがある。すれ違うほとんどの男女は当然のことながら我々を意識外の者として行き会うし、たまにワンコ好きなのか「あれまあ、頑張って歩いているねえ」とご自身がリハビリのためか些か足を引きずりながらも声をかけてくれるオジサンもいる。また無言ではあるがすれ違いざまにニッコリと笑顔をラテに送ってくれる女性も…。
反対に、遠目にも顔をしかめて回りに不機嫌をアピールしているような老人もいる。無論こちらも関わりたくないから話しをしたこともないが、多分にワンコが嫌いなのか、すれ違いざまにわざとらしくも「犬と散歩なんて馬鹿のやることだ」とでも言いたげに顔を歪めて通り過ぎる…。

齋藤 孝著「不機嫌は罪である (角川新書) 」という本には「慢性的な不機嫌は自らを蝕むだけでなく、職場全体の生産性を下げ、トラブルやハラスメントの火種になる。」と書かれている。また不機嫌が続くと己の免疫も低下するという話もある。
そして飼い主の不機嫌をワンコたちは敏感に感じ取る。あのシャーロック・ホームズも「這う男(人)」の篇でいみじくも言っている…。「犬というものはその家族の生活の鏡だ。陰気な家に陽気な犬なんかいないし、幸福な家に悲しそうな犬なんかいやしまい。どなりちらしている人間のところには吼えたてる犬が、危険な連中のところには危険な犬、というわけだ」と…。
ホームズ物語の著者、コナン・ドイルは大の犬好きだったから経験上、そうしたことを注視していたのだろう。






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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員