ラテ飼育格闘日記_837

2023年3月6日はラテの一周忌だった。今回の日記にはラテ最後の様子を書こうと思っていたが…やめた。読んでくださる方々にとってもよき話しではないしオトーサンにとっても何度思い返しても悲しみしか湧いてこない出来事だからだ。


ただし15年連れ添ったラテには感謝の気持ちで一杯だ。だから今後も折に触れてこの日記を綴るとすればなるべくラテとの楽しい思い出をと考えた…。

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※最晩年の表情


さて、ラテは保護犬であった。2006年のこと雨の日、茨城県のとある家の軒下で保護された。推定生後3ヶ月だと病院で言われたという。そしてボランティアで犬猫の保護活動をしている方に依託され先住犬と老ネコの中で温かく迎えられ、新しい飼い主を探すべく里親会などに連れて行かれることになった。

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※おむつ姿で甘えてます


オトーサンたちとラテ(その際に付けられた仮の名はカンナといった)が会ったのがラテにとって何度目の里親会だったのかは知らない。9月に保護されたというし、オトーサンたちと出会った里親会は11月だったからもしかしたら始めての里親会だったのかも知れない。
ともあれその日の事はこの日記にも何度も書いたが、正直オトーサンにとって特別えり好みするほどの知識も了見もなく、ただ初めての飼い犬として飼いやすいワンコであればなんでもよかった…。

キャバリエに目が映ったがすでに申込者がいた。しかしその場の雰囲気に飲まれ初めての体験でもあり、さてどうするかはオトーサン自身も分からないでいたもののそのとき「すみません。この子のリードを少し持っていてくれませんか」と係りの方に頼まれ、子犬に相応しくないように思う太めのリードを渡された。
そのワンコがラテだったのだ。

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※襖の間からこちらの様子を覗き込む…


ワンコにこれほどまでに接近しその体に手を回したのはたぶん始めての体験ではなかったか。したがってどう扱って良いか、どう扱うべきかもわからなった。そしてラテのリードを保持しつつも周りを走り回る幾多のワンコの中からお気に入りを探していたのだった。
しかしあれよあれよという間にワンコたちの里親が決まっていく…。それも雑種ながらキャバリエとかダックスといった姿のワンコは決まるのが早かったが見るからに雑種のワンコは次第に取り残されていった。

その間のラテの行動はいくら語っても語り尽くせぬような気がするほど積極的だったしかつ大人しかった。矛盾するようだが、他のワンコたちとは違い吠えもせず粗相もせず走り出そうとせずじっとオトーサンたちの足元に座り込んでいた。
ただ、ラテの関心事はオトーサンにあったようだ。無論初対面の、それも飼い主と決まった訳でも無いオトーサンの顔を舐め続けただけでなくオトーサンの被っていたキャップを唾液だらけになるほど咥えていた。いま思えばまるで「このまま連れて行ってくれるんでしょ?」とでもいうような積極的な態度だった。

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※若い時にはストーブに近づくこともなかったが最晩年はヨタヨタと近寄ることが多くなった


そういえば先日インスタで印象的なワンコの動画を見て目頭が熱くなった。それはキャプションによれば保護施設で新しい飼い主が決まったばかりのワンコが新しい飼い主の男性にしがみつくようにし、かつその視線を新しい飼い主に注いだまま動かないのだ。その姿は「引き取ってくれてありがとう」と訴え信頼を示しているように思えた。

ラテもそのとき推定生後5ヶ月だったが、些か行動は違えど精一杯の思いをオトーサンたちに訴えていたように思える。ただしオトーサンがそれに気づいたのはかなり後になってからだ。犬を飼いたいと奔走し結局里親会に参加させていただいものの、ワンコの気持ちがどうのこうのと考える余裕がなかった。ただただ一方的に気に入るワンコがいればいいなあという思いだけだった。

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※家族になって1ヶ月、はじめての美容室で綺麗になった


しかしこれまた何度も書くがラテ側の思いは本能的に切実だったに違いない。ワンコには己の置かれた状況を理解するだけでなく希望や絶望を感じる高度な感情があることは前記した動画の例などでも理解できる。ラテはきっと生き残るために思いの全てをオトーサンの顔を舐めることで表現したに違いない。何故って…それ以降その時ほどラテが積極的にオトーサンの顔を舐めてくれたことはないのだから(笑)。
でも、オトーサンたちはラテを選んだことを心から喜んでいるし、ラテにとっても同じであったことを祈っている。


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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員