当研究所の簡易ミニ・スタジオ公開

まあ、大したお話しではないのであまり身を乗り出さずにご覧頂きたい(笑)。
私は当ブログへの掲載は勿論だが、資料のデジタル化などの意図からスキャナとしてはScanSnap SV600を常用し、かつ小物の撮影の為に小さな背景布と専用の照明などを用意している。しかし一番の願いは必要な時に準備の時間を最短にしたいという点である…。今回は知人達からの問い合わせに対する回答も兼ねて当研究所の簡易ミニ・スタジオをご紹介しよう。


“スタジオ” というと、大層な設備を持つスペースを想像するかも知れないが、”studio” の本来の意味はアーティストの仕事場(アトリエ・工房)などのことを意味していたというから規模の問題は別ということになる。しかしここでは写真撮影をしたり、スキャナでイメージを作り出したりする場所・スペースのことだという程度の意味だが、先般知人たちに話をしたところ思いもかけずに「参考になった」と賞賛されたので図に乗ってご紹介してみたい。正直大した内容ではないが、もしかすると参考としていただけるケースもあるかも知れない…。

さて言い訳めくが、私は写真は大好きだが写真家ではないからよい写真、自分にとって気に入った写真を撮りたいとは思うが、他者を感動させるような1枚を撮る…などという志しはない…。また当ブログへの掲載写真も載せたいときのタイミングを逃さないことを第一に考えているので、やれホワイトバランスが統一されていないとか、色味が少しずれている…といったことにはあまり頓着していない(笑)。

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※当研究所の小物撮影スペース。通常はこんな環境で写真撮影している


しかしそんな私でも企画書や重要な資料作りのために鮮明さはもとより、目的に合致したきちんとした “よい写真” や “よい画像” を撮る必要に迫られることもある。それらの機会には撮影するアイテムと目的を踏まえて非接触カラーイメージスキャナであるScanSnap SV600とデジタルカメラ SIGMA DP3 Merrill が活躍してくれる。
ただし長い間スキャナやデジカメ類を扱いいわゆるブツ撮りを行うときに思うことは、少しまともな写真・データを撮りたいと考えれば前準備がなかなか大変で面倒だということである。

どういうことかといえば、ガジェット類にしろ製品パッケージにしろ、その物を際立たせる撮影を考えるならまさか散らかっている机上で撮影するわけにはいかない。やはり何らかのバックペーパーや背景布と適切な照明が必要となる。
理想を夢見るなら小さくとも専用のスタジオとして使える個室が欲しいが、無理な話でもありせいぜい最小の設備を整えたままで常用できるスペースが欲しいと考えていた。
しかしこれまでの現実はバックペーパーや背景布を必要とする撮影を始めるとき大小の組み立て式のものを部屋の空いているスペースに用意し、そこに三脚を組立て、照明をセットして云々…といったあれこれをやってきた。
それが無精な私には億劫であり、つい手抜きをしてしまいがちになる。スペースがないときにはまずは片付けから始めなければならない(笑)。ましてや用が済めば狭い部屋だからしてそのままにしておくわけにはいかず、組み立てた器具類をそれこそ片付けなければならないがこれまた面倒だ…。

そこで昨年末に環境が変わったのを機会に一計を案じた次第。
実は大変便利でなくてはならない周辺機器となったScanSnap SV600だが、これを十分に使い込むには当然のことながら専用のスペースを必要とする。まさか必要な都度、デスクの上を片付け、SV600をその上にセットして…などとやっていては仕事にならない。
ただしこのSV600を使うスペースは最小限その背景マットが置けるスペースが必要だ。ましてやスペースを確保しSV600を常設したとしても使わない時にはいわゆるデッドスペースになってしまう可能性もある。

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※背景布を吊したミニ・スタジオ全景(上)。その背景布を取れば、その後ろにScanSnap SV600が鎮座している(下)


とはいえ「必要は発明の母」といっては大げさだが、これまでSV600を使いつつ考えていたことを実行したのが今回ご紹介する簡易ミニ・スタジオなのだ。
まず最初に結論から申し上げれば、SV600の常設スペースを写真撮影時にも共用しようという試みである。
実はSV600の設置は古いパソコン・デスクを使うことにした。30年も前に寸法や仕様を提示し業者に作ってもらったものだ。
キャスターが付き、下段には収納場所と電源タップが備わっており、机上までの高さは低めの65センチ。幅は60センチ、そして奥行き65センチで当初は奥行きが35センチと短めの棚板を2つ持っているという仕様だった。

我ながら便利な設備だったが、さすがに時代と共に使う機器類も多々変わり、活用の場がなくなっていた矢先だったが、真ん中の棚板を外してSV600専用の場所にと考えた。
この机上スペースならSV600はもとより背景マットを問題なく広げられるし、別途ブックプレッサーといった道具も十分に活用できる。

そして実際にSV600を設置した際に閃いたことは、この背景マットを広げた場所をデジカメで小物を撮影するときにも使えるのではないかということだった。
机上スペースを確認してみると奥行き65センチの文字通り中央奥にSV600を設置したわけだが、ヘッドの前面までは奥から22センチほどだ。それを確認し、その上にある天板裏の左右位置にベルクロテープを貼った。そして背景布が必要な際には横幅50センチの背景布を天板裏のベルクロから吊り下げる寸法だ。
ちなみにこの背景布は以前購入した組み立て式の小型撮影ボックスに付属の物で、ホワイトとブラック、ブルーとグレイが各リバーシブルになっている2枚組である。

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※ここで使う背景布は幅50センチの小振りなものだ


こうして背景布を下げるとその前面は約40センチほどの空間ができる。さらに40センチでは奥行きが不足の場合は背景マットの上に置いてあるバード電子製のブックプレッサーを裏返しし、それを前面に引き出すようにずらし、その上に背景布を被せると取っ手分だけ高くはなるが 約50〜60センチ程度の奥行きが確保でき、小物の撮影には十分なスペースとなる。さらにその脇には撮影用の照明を設置し、三脚にセットしたデジタルカメラを置くことになる。

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※SV600用として常設しているブックプレッサーだが、少し高さが欲しいときや背景布の奥行きが欲しい時には裏返して撮影台としても活用する


一番の利点はSV600を利用する場合にも背景布をベルクロから外せばそれで済むことだ。机上にはすでに背景マットが置かれているし即SV600の電源を入れればスキャニングに移れる。そしてご紹介したこの古いパソコンデスクを活用したミニ・スタジオはメインマシンや多くの機材が列ぶ机上の隣なので作業が大変やりやすい。
勿論、例えばMac本体とか図体のでかいものの撮影はこのミニ・スタジオでは無理なので、そのときは従来通り組み立て式の大型バックペーパー環境を用意するが、使用頻度はそんなに高くないので日常の多くはこのミニ・スタジオで事足りる…。そして一度だけだが簡単なストップモーション・アニメの撮影もここで行ったが、なかなか具合がよかった。
自画自賛ながらなかなか使いやすくてお気に入りだが、同じような事をお考えの方に多少でも参考となれば幸いである。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員