まずは iPhone 6s Plusのファーストインプレッション

発売日の9月25日に予定どおりiPhone 6s Plusが届いた。64GB のゴールドだ。先の発表会においてティム・クックCEOは iPhone 6s/6s Plusを「唯一変わったのは、そのすべて」という奇妙なキャッチフレーズを掲げ、見かけ以上に大幅なモデルチェンジであることを強調した。


まず iPhone 6s Plusの化粧箱を見たとき、今回は品の良い艶やかさがあっていいなあと思った。何しろ昨年のiPhone 6 Plusの時の化粧箱は極端なシンプルさを目指したのか…ちょっと見は真っ白な箱で口さがない我々の間では「お棺」と呼ばれていた(笑)。

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※今回iPhone 6s Plusのパッケージは品の良い華やかさを感じるデザインだ


届いたiPhone 6s Plusは毎度のことだがSIMを入れ替えてアクティベートを行い、バックアップから復元を行うといったいつものセレモニーをやったが、確かにちょっと見は代わり映えしない。しかし実際には本体の素材がApple Watchと同様に航空宇宙産業でも使われる頑丈な7000シリーズのアルミ合金を採用したことや iPhone 6 Plusと比較し20g 重さが増しているしサイズも極わずかだが違っている。とはいえ手に取った程度ではサイズはわからないが重量の差は微妙に感じる...。

なによりも手慣れたデバイスを引き続き使う気楽さと信頼感が気分を盛り上げてくれる。細部に拘ったらきりがないが、Appleとしても目立ったデザイン変更は必要ないと判断したに違いない。ただし中身はiPhoneが登場してからこの方、最高の仕上がりのように思える。

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※iPhone 6s Plus(左)とiPhone 6 Plus(右)。一見はほとんど違いが分からな


さて重量が増したのは素材のせいかと思ったがそうではないらしい。その理由は新機能「3D Touch」のためだという。3D Touchとはすでにご承知のことと思うが、画面上を指でタッチする強さを「通常」だけでなく「強く押す」および「さらに強く押し込む」の3段階を認識する技術を実現するために、ディスプレイに新たにレイヤーが追加され、振動を伝える「Taptic Engine」も大型化していることによる。ちなみにこの3段階のタッチは長押しとは一線を画するものだ。

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※一見従来のiPhone 6 Plusと見分けが付きにくいが、iPhone 6s Plus背面には「S」と明記されている


話しを戻してサイズだが、iPhone 6 Plusと比較してiPhone 6s Plusは、高さでは0.1mm、幅は1mm、厚さは0.2mm 増えていることでもあり、取り急ぎの興味はケース類が従来のiPhone 6 Plus用のものがそのまま使えるかどうかだった…。
まあこの違いはケースにもよるものの誤差程度だろうからと考えていたが、実際にテストするまでは不安があった。

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※これまで愛用してきたiPhone 6 Plusから外したカバー。カバーにはホールドしやすいようにと取っ手を付けてある


私がiPhone 6 Plusで愛用してきたカバーは simplism とCOPICとのコラボモデルでカラーレスブレンダー、すなわち透明色で厚さが0.7mmの製品だ。これに別途バード電子製で落下を防止するための本革製 TOTTE を貼ってある。ためにできればこのまま使い続けたいと思っていたが、実際に確認してみると問題なく装着できたので、引き続き使うことにした。

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※前記のカバーは問題なくiPhone 6s Plusで使えることが判明


それからほとんどのジャーナリズムはこの3D Touchをべた褒めのようだが、まだ十分身についていないこともあって私自身は少し距離をおいて冷静に評価をしたいと思っている。
例えば受信ボックスにあるEメールをPeek…すなわち軽くプレスすると、プレスしている間は中身をプレビューすることができ、しっかりと確認したい場合はもう一段強く押し込むと表示 (Pop)するといった具合。

ただしこれはアプリが対応して初めてその真意が発揮できるわけで、現時点ではApple純正アプリですら対応していないものもあるし、各アプリでPeekとPopの結果を標準化すべきとはいえ、実装の仕方によってもその真価はかなり違ったものになると思うので手放しで喜ぶのはしばらく様子を見なければならないと思っている

さらにこうしたインターフェースは1度身につくと戻れない類の便利さに違いないが、我々の多くはiPhoneだけではなくiPadやMacをも平行して活用しているのでその混乱が気になって仕方がない。いずれはiPadもそしてMacBookといった OS Xでも同一のインターフェースが採用されるのだろうが、いや可能な限り統一されなければならないと思う。

ただし新しい機能は身につけてナンボのもので、ある種のショートカットとも思えるこの種のインターフェースは多ければ良いというものではないし、使う人と使わない人に分かれてしまうようにも思える...。やはり自分のiPhoneとしてどのように対峙するかにかかってくるわけで、繰り返すがその良し悪しの判断はしばらく時間がかかると考えている。

また一番の興味はカメラだ。これまでiPhone 6/6Plusは8メガピクセルのiSightカメラだったものが iPhone 6s/6s Plusでは12メガピクセルと大幅に向上し4Kビデオ撮影のサポート、撮影した写真が生き生きと動き出すLive Photosといった新しい機能が魅力的だ。さらにiPhone 6s Plusでは光学手ぶれ補正機能が写真だけでなく動画撮影にも効くという。

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※Live Photosはカメラを起動した上のアイコンでON・OFF可能


そのLive Photosもアップルのサイトで見ることができる作例のような効果的な写真を撮るのは意外と難しいことも実際にやってみればわかる…。単に被写体にiPhoneを向けてシャッターを切ればよいというものではない。

Live Photosは、シャッターボタンを押した瞬間、1200万画素の静止画が撮影される。ただしシャッターを押した1.5秒前からの動画が記録されており、シャッターを押した後の1.5秒間の動画と共にひとつのデータと認識される。したがってシャッターをトリガーとしてその前後1.5秒、合計3秒間がファイル化される仕組みになっている。



※Live Photosは対応するデバイスで表示させた場合、画面を軽く押すと動画とサウンドが3秒間再生される


私たちは写真を撮る際にはシャッターを押す瞬間だけ手ブレに注意し被写体を注視する習慣がついている。しかしLive Photos撮影を同じ感覚でやれば失敗作ばかりになるだろう。なぜならLive Photosの理屈はシャッターを押した前後をデータとして捉えているわけでカメラを向けてパシャパシャとシャッターを切ればよいわけではなく意外と馴れが必要だし、できれば小型の三脚などを使ってゆったりとした気持ちでかまえないと良いLive Photosは撮れないように思う。

さらにLive Photosのデータは短いとはいえ前記した理屈で動画が含まれている。iPhone 6sのデータとしては静止画扱いで「写真」アプリのカメラロールに集約されるが、ファイル容量は静止画の倍程度にもなるので無造作な撮りっぱなしだといたずらにメモリを消費するので注意が必要だ。

iPhone 6s/6s Plus の魅力はやはり手に取っただけでは分からない…。これからこうした様々な機能を日常のシーンでいかにしたら楽しく役立てることができるかを考えながら検証していくつもりである。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員