遂に登場したWATCH、まずは腕時計としての第一印象は?

Appleは9月9日(日本時間10日)、スペシャルイベントにおいて長い間噂されていた腕時計型デバイス「Apple Watch」を発表した。デザインは大別して3種類用意され、38mmと42mmの2サイズがある。ケース裏にはセンサー部があり心拍数を検知する機能などがある。発売は2015年の早い時期と発表されているが取り急ぎ腕時計としての印象を考察してみたい…。


さて腕時計好きの人間から見て WATCH は欲しいアイテムであることは間違いない。ただしデジタル/アナログといった区別はともかく、これはこれまでの腕時計の枠に単純には収まらない製品であるからして少々複雑な気持ちである。
正確に言うなら確かに腕時計の形はしているものの、最新のITデバイスであり、機能のうちのひとつに時計機能を持っていると言った方がよいのだろう。

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かねがねAppleから “iWatch” が出るとは推測されていたし、もしAppleがそうしたデバイスを開発するのであればこれまでの同種の製品のようにある意味中途半端なものではなく予測もできないユニークで有能、そして楽しい機能が満載になると考えていたから、そうした意味においては期待を裏切らない出来に違いない。
ただしまがりなりにも腕時計という範疇に入る製品であるなら注文もある。発表されたばかりで発売は来年早々という製品に対して早々にいちゃもんを付けるわけではないが、今後の製品開発に対しての希望と考えていただいてもよい…。

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まず腕時計の形である。ご承知のように絶妙なデザインではあるが WATCH は四角い形であった。個人的には腕時計…それもシンプルを真骨頂とするAppleなら是非丸いベゼルの製品であって欲しいと考えていた。勿論極々限られたスペースにあれだけの機能を盛り込むには部品実装を極限まで小さくしなければならず、円形より四角形の方が収めやすかったに違いない。
ということで初代 WATCH のベゼルはこれで仕方がないとしても是非次のアップデート製品の機会には丸形を出して欲しいと願っている。

AppleWatch_03.jpg


さらに今回の発表では詳しく触れられていないだけに不安材料もある。その1番はやはりというべきかバッテリーに関してだ。採用されたテクノロジーはAppleのMagSafeテクノロジーと電磁誘導充電を組み合わせたもので充電用コネクタを WATCH の裏面にもっていくだけでマグネットが充電部に吸い寄せられぴったりと接続されるという仕組みだ。

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※充電はMagSafeテクノロジーと電磁誘導充電を組み合わせたもので容易に充電ができる


それは素敵なアイデアで嬉しいが、やはり問題はフル充電にどれほど時間がかかるのか、そしてフル充電でどれほど連続使用ができるのかが問題だ。

本体が小型の製品だけに1度の充電で長くは使えないようにも思うが、まさか5,6時間といったことなら実用上は使えない代物になってしまう。ただしアップルのウェブページにもまだそうしたスペックについては詳しく記されていないので不明だが、もしかしたら発売時期というか、製造に時間を必要としているのはそうした最終的なチューニングすべき事案がいくつか残っているからなのかも知れない。
ともかく発売されたら間違いなくひとつ手に入れようと思っているが、機能面ではなくその名称に関しても気になった点がある…。

それは噂されていたとおりの名称 "iWatch" でなく "WATCH" となったことだ。勿論 "iWatch" が商標として使えなかったということもあるのかも知れないが "APPLE WATCH" と少々長ったらしく当たり前の名称にしたのが気になった。
今回のスペシャルイベントで別途発表されたサービスに "Pay" があるが、これも "iPay" でないのが引っかかる(笑)。これまた想像の域を出ないが、Appleとしては今回 WATCHというこれまでにない新しいジャンルの製品を発表するにあたり、新生アップルを強烈にアピールしたかったのではなかったか。

Appleはいまだにスティーブ・ジョブズの影が色濃く残っている。それは良い面と悪い面の両面を持っているに違いないが、プロダクト名の頭に "i" を付けるのはまさしくスティーブ・ジョブズ時代の象徴でもある。したがってそろそろそうした過去を引きずっている印象を払拭したいとティム・クック CEOらは考えたのかも知れない。そして正式名称は"APPLE WATCH" や "APPLE PAY" だとしてもよりシンプルにイメージできるようにとアップルロゴを使って "WATCH" , "Pay" にしたのではないだろうか。
だとすればそのうち "iMac" は "Mac" に、iPhoneやiPadは "Phone" とか "Pad" に変更されるのかも知れない(笑)。

今回のスペシャルイベントを最初からずっとストリーミングで見ていたが、ティム・クックは少々はしゃぎすぎではないかと思って見ていた。裏を返せば彼がCEOになって初めて新しいカテゴリーの製品を発表できたことに心から喜びを感じているのだろう。そしてなによりも WATCH はスタートしたばかりでありiPhoneやiPodがそうであったと同様、これからも大きな進化を見せてくれるに違いない。
またデベロッパーから WATCH 用のキラーアプリも多々登場するであろうから、期待は膨らむばかりだ。
誰だ!Appleを「沈みゆく帝国」などと言った奴は…(笑)。

そうだ、WATCHが世界最大規模の時計と宝飾品の見本市であるバーゼル・フェアに出展したら面白いなあ…。


WATCH



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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員