ESUN 3Dプリンター用フィラメントボックス「eBOX」レポート

ESUNの3Dプリンター用フィラメントボックス「eBOX」を知ったときの第一印象はそのデザインの妙だった。フィラメント乾燥機としてはすでにPrintDryを使っているし機能面ではまったく問題ない。また複数のフィラメントを乾燥することも、乾燥しながら3Dプリンターにフィラメントを供給することもでき気に入っているが欠点はサイズがかなり大きいことだ。


それに常用している3Dプリンターが2台あり、理想を言えばもうひとつPrintDryが欲しいところだがまったく置き場所がない。
そんなことを考えていたときだったので「eBOX」のスマートさに一目惚れしてすぐに注文した次第。
なお「eBOX」はFDM方式の3Dプリンターで使うフィラメントボックスであり、収納したまま3Dプリンターへ供給できるわけだがただのスプールホルダーではない。

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※eBOXのパッケージと同梱品(下)


さてこのeBOXだが事前にネットで評判を調べて見ようと検索してみたもののレビューの数が思ったより少ないだけでなくその評価も芳しくないものが目立つ。まあ、問題なく使っている方はわざわざネットに書き込まないということなのかも知れないが、そんなネガティブな評価がどこから来るのかも検証してみたい…。

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※フィラメントスプールをセットしたeBOX


まずeBOXの売りの機能としての第一はフィラメントドライ機能、すなわち湿気を帯びたフィラメントを乾燥させる機能だ。
二つ目は装着したフィラメントの残量を本体ケース正面の液晶に重量として表示してくれる機能だ。そして繰り返すがスプールボックスとして常設でき、乾燥剤を入れておけることも含めフィラメントを裸で放置するのと比べて湿度や埃から保護できる設計になっている。

製品サイズは23.9 × 21.5 × 10.4 cmで重量が750 gだが、1kgのフィラメントを収納できるにしてはスマートだしPrintDryより設置スペースが小さくて済むので扱い易い。理想は常用するフィラメントはひとつずつすべてこの「eBOX」に収納して使いたいところだ…。
そのeBOXだが、トップカバーを開けると底にローラーホルダー型のホルダーがありそこにスプールを乗せることになるが、その下にはヒーター回路と奥にはファンが見える。

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※eBOXの内部


ただし扱い易いが "使いやすいかどうか" は意見の分かれるところかも知れない。なぜならオペレーションや設定はすべてフロントにある小さな液晶周りにある電源を含めて4つのボタンで行わなくてはならないことだ。そして付属のマニュアルは英語 & 中国語であり日本語記述がない。
また液晶は小さいことはともかくボタンを押した瞬間のみバックライトが点灯するが使用中は点灯しないので些か見づらい。
それでは簡単に具体的な使い方をご紹介してみよう。まずはセットアップだ。

1)アダプタをAC100-240V~50 / 60Hzの電源に接続し、出力端子をeBox後部のコネクタに差し込む。

2)電源ボタンを押すと自動的に重量がクリアされる。 WOC(重量セッティング)モードに入り、プレート重量の表示単位をグラム、ポンドのいずれかに設定できる。

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※ WOC(重量セッティング)モード


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※グラム表示モード


3)アッパーケース(カバー)を開き、スプールを入れる。その際奥のスペースに乾燥剤を入れることもできる。そしてスプールを入れるとスプール込みのフィラメントの重量が計測表示される。正確を期すならあらかじめスプールの重量を量り手動でフィラメントだけの重さに変更する。なおESUN純正フィラメントの重量はマニュアル巻末に記されている。

4)スプールを入れたらボトムケースとアッパーケースが重なる部位にあるフロントの穴にフィラメントを通してアッパーケースを閉じる。なお付属のチューブおよびバヨネットをここにセットして使うことも可能だが、その際フィラメントを下から出すか上から出すかでバヨネットを上向きにするか下向きにするかを決める。ちなみにそれは3Dプリンターの設置位置に関係するわけでありどちらでもよい。

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※バヨネットを下向きにセットした例


以上でeBOXは重量(残量)を確認しながらスプールホルダーとして利用できることになるし前記したようにボトムケース奥に乾燥剤を入れておけば梅雨時でもない限り封を開けた新品のフィラメントはこのまましばらく安心して使い続けることができるだろう。
ただし湿度が高い場合やすでに湿気を帯びてしまったフィラメントを使う場合はeBOXのドライモードを使って乾燥させる、あるいは乾燥させながら使うことが出来る。

では温度設定モードに話しを進めよう。まずモードボタン(M)を押し、温度設定モードに切り替える。 画面に "TEMP" が表示されるが、表示された数値が底面ヒーターの現在温度だ。 なお温度の単位は摂氏。

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※温度設定モード


この "TEMP" モード時に上ボタン(△)または下ボタン(▽)を押して目標温度を設定する。 画面上の数字が目標温度になるが3秒間経過すると、画面は底板の現在の温度を再表示する。
なおフィラメント乾燥に理想的な温度と必要な加熱時間についてはマニュアル巻末に概要が記してあるが、PLAなら温度は50℃で時間は4時間だ。とはいえフィラメントの量やどれほど湿度を持っているかによって加熱時間は微妙に変える必要があるだろう。

最後に加熱時間設定モードの話しだ。まずボタン(M)を4回押し、加熱時間設定モードに切り替える。 スクリーンに "TIME" と表示された数字が加熱時間だが単位は "時間" である。その値はアップボタン(△)またはダウンボタン(▽)を押して任意に増減できるが、慣れないと難しいのがこの加熱時間設定モードの表示だと思う。
なぜなら繰り返すが表示の単位は "時間" だからして例えば "005.5" の表示の場合なら5時間30分を意味し "5時間5分ではない"。

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※この表示の場合、加熱時間設定は5時間30分を意味する


この辺が分かりづらいのかも知れないが、そもそも電子レンジではあるまいしフィラメントの乾燥に例えば5時間5分といった細かな設定は不要だからして慣れてしまえばどうということはないと思うのだが…。それにPrintDryはタイマー内蔵されていないので例え簡易的だとしてもeBOXに内蔵されているのは有り難い。

また本体のデザインは良いとしてもその作りが安っぽいという感想もあるようだ。事実ボトムケースとアッパーケースの肉厚は薄くお世辞にも丈夫そうには見えない。さらに透明なアッパーケースの材質はアクリルではなくスチロールのようで背面のヒンジ部分は丁寧に扱わないと割れやすいように思える。

それから電源が入っていると温度設定を特にしていなくても時々「カチャ」と音がする。どうやらサーモスタットの動作音のようだがこれまた最初は気になる。
ただし本製品も微妙に改良が続けられているようで例えば底面にある滑り止めのパッドにしてもメーカーのウェブサイトの説明では4隅だけだったが届いた製品には中央にもひとつ追加されている。

ということでeBOXのレポートの概要を記したが、AliExpressでは送料込みで60ドルを切った値段になっているしこの価格ではそうそう高望みしてもeBOXに気の毒だ(笑)。ともあれ一般的にフィラメントは外気に触れたままで使う訳だが、ドライ機能を別にしても密閉度の高いケース内に入れたまま使えるだけでも安心感が違う。
そして実際に使っているが、フイラメントの送り…すなわちスプールは負荷なく回転しスムーズに供給できている。

これから暫くは空気が乾燥する季節だからフィラメントの取扱も梅雨時や夏場と違い、そうそう神経を使わなくてもよいと思うが、FDM方式の3Dプリンターの利用者ならひとつ持っておくと便利・安心といったところか。
なお本製品はAliExpressサイトで購入したが中国深圳から10日で到着した。これまで同サイトで他の商品を購入した際には20日はかかっていたので少々驚いた。
機会を見てもうひとつ購入するつもりだ。


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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。ゆうMUG会員