Apple Watchは「デジタル式時計」か、あるいは「アナログ式時計」なのか?

一般的にデジタル時計といえば数字による時刻表示機能をもつ時計のことをいう。そのデジタル時計にも電子式と機械式(物理的な数字パネルを捲ったりスライドさせたりする)があるが、先日知人からApple Watchの時計機能は一体何と呼んだらよいのだろうか…と聞かれた。アナログ式なのか、あるいはデジタル式なのか?


Apple Watchの文字盤は液晶ディスプレイに表示されるアニメーション画像といってよいから実態はない。ただしこれまでのデジタルかアナログかといった定義でApple Watchを見ると些かわからなくなってくる。無論あくまで開発側から見ればApple Watchを腕時計と捉えては誤解が生じるし、あくまでiPhoneをベースにした拡張デジタルガジェットと見るべきだが、ここではその時計機能のみに焦点を当てたお話しである...。

AppleWatchDA_01.jpg

※Apple Watchの時計表示は液晶ディスプレイなので何でもありだ...


なぜなら、これまで定義としてデジタル式か、あるいはアナログ式かは、時刻を測る内部装置の問題ではなく表示側の機構で定義されてきたからだ。
したがって内部は電子式であっても、その表示が物理的な針と円盤であれば、それはアナログ式時計とよばれる。市販されているクオーツ腕時計の多くもこの範疇に入る。

AppleWatchDA_02.jpg

※この腕時計は機構はクオーツだがアナログ式腕時計と呼ばれる


しかしApple Watchは機構が電子部品からなっているのは疑いないが、その表示はアナログ式を模したものであり液晶ディスプレイに文字盤と針といった映像をアニメーション的に表示させたものだ。さらには数字によるデジタル表示もできるわけで、ディスプレイなのだから何でもありだ(笑)。では前記の定義からしてApple Watchはデジタル式時計なのか、あるいはアナログ式時計と呼ぶべきなのか...。

AppleWatchDA_03.jpg

※ハンドメイドの高級機械式腕時計の一例。プラチナケースでトゥールヴィヨン搭載アランシルベスタイン一品物。1994年発表で当時の価格は1,350万円。カタログより転載


こうして考えると今更ではあるが、Apple Watchのような腕時計はこれまでほとんどなかったことがわかる...。したがってこれまでの「デジタル式時計」「アナログ式時計」といった定義の範疇から見事にはみ出ているわけで、こんなところにもApple Watchのユニークさが見て取れるのではないだろうか。

対してスマートウォッチという便利な呼び名もあるが、Apple Watchはこれまた単純にこれまでのスマートウォッチという概念には納まらない柔軟さと拡張性を備えている。
Apple Watchは「デジタル式時計」なのか、あるいは「アナログ式時計」なのか?
さまざまな視点から眺めてはいるが、今のところApple Watchは「アップルウォッチ」と呼ぶしかないようだ(笑)。


関連記事
広告
ブログ内検索
Macの達人 無料公開
[小説]未来を垣間見た男 - スティーブ・ジョブズ公開
オリジナル時代小説「木挽町お鶴御用控」無料公開
オリジナル時代小説「首巻き春貞」一巻から外伝まで全完無料公開
ラテ飼育格闘日記
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

mactechlab

Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員