初めての 360W ミニテーブルソー/卓上丸鋸盤雑感

新年初の買い物のひとつはミニテーブルソーとなった。テーブルソーとは、テーブルの真ん中に丸鋸の刃が飛び出した状態で取り付けられている木工機械(鋸盤とも呼ばれている)だがミニテーブルソーは文字通りそれの小型版を言う。


Huanyu_01.jpg

※Huanyu 360W ミニテーブルソーとサイズ比較のために置いたiPhone 14 Pro


さて、レーザー加工機を思い通りに活用しようとすればするほどその素材、すなわち木材やアクリル板、あるいはアルミといった材料の形を整える必要がある。
勿論材木を例にすれば任意の形に切り抜くといったことは厚さの限界を考慮すればレーザー加工機で可能だし切断も出来る。しかし何からなにまでレーザー加工機で…というのも無理な話しだしxTool M1の庫内に入らない長さの材木はあらかじめ必要なサイズに整えておく必要がある。

Huanyu_02.jpg

※天板を外した様子


もともと私の場合は例えば本棚を作ったり…を目指すDIYではなくもっと細かな物作りにレーザー加工機やミニテーブルソーを生かそうと考えているわけで、材木にしてもアクリルにしてもまずは使いやすいサイズのものを購入する。
しかし、だとしても実際に細工を始める際には素材の寸法はあらかじめ整えたいし整えなければならない。そうした際に鋸やアクリルカッターなどをとなればなかなかに煩雑だし効率が悪い。そこでミニテーブルソーの出番ということになる。

なお、本格的な手持ちの丸鋸や、据え置き型のスライド丸鋸は材料に向かって歯を動かして切断するのに対し、テーブルソーは材料を刃に向かって動かし切断するという違いがある。いずれにしても便利な道具だが、テーブルソーは刃が高速回転した状態でテーブルに設置されているため、手や指が巻き込まれると大変な事故につながり最悪は指がなくなってしまうことも考えられる。したがって使い方を誤ったり、円盤型の刃の取り付けは正確確実に行わなければならないし、利用時にはゴーグルやマスクも不可欠だ。

ということで届いたミニテーブルソーだが、製品のサイズが‎24.5 x 13.5 x 20 cmとその小ささにまずは驚く…。なお重量は6.34 kgとのことだ。

Huanyu_03.jpg

※天板のレイアウト


天板はアルミニウム製で鋸刃は0~30mmの昇降可能。そしてマイターゲージーは0~90°調節可能で正確な多角度切断を実現する。さらに付属4枚の替え刃によって木材・金属・アクリル・基板・プラスチックなどの切断に対応しているだけでなく別途ドリルチャック機能を備えているので研磨やフレキシブルシャフトを使い穴開けやルーターにもなり小細工派にはもってこいの道具だ。

Huanyu_05.jpg

Huanyu_04.jpg

※フレキシブルシャフト使用例(上)と研磨用円盤型ヤスリを取り付けた例(下)


ただし小型だけに制約もある。
それば最大切削の厚さは20mmまで、最大切断幅は150mmまでとなっているのでまずはこれ以上負荷のかかる作業はやってはならない。
具体的には木材の他、10mmのアクリル板や3mmのアルミ板も切断出来るという。

早速セットアップし実際に10mmの桧の板を切断してみたが、実にスムーズに切断出来る。無論パワー以上に材料を押し込んだり無理な力を加えないことも大切だ…。

Huanyu_08.jpg

※実際に厚さ10mmの木材を切断してみたが実にスムーズだった


とはいえこの手のものは初めてなのでひとつ大きな勘違いがあった。それは電源は当然本体の中に収納逸れているものだと思い込んでいたがまるっきり外部電源であり、1977年に手に入れたワンボードマイコンを思い出した(笑)。

ともあれこうして見ると良い事尽くめのようだが、欠点というか問題もないわけではない…。それはやはり粉塵の問題だ。例えば現在愛用しているレーザー加工機は専用ダクトで粉塵や臭気も排気できるようにしてあるが、室内でこのミニテーブルソーを使う限り木屑などを完全に防御するには相応の設備が必要となり現実的で無い。
ということで取り急ぎ、掃除機を隣接して使っているが陽気がよくなったらベランダで作業するのが1番かも知れない。

■Huanyu 360W ミニテーブルソー



Apple iPad(第10世代)ファーストインプレッション

年末ぎりぎりになってiPadを買った。まあ自分へのクリスマスプレゼントといった屁理屈を付けて…だが、新製品の第10世代無印 iPadである。カラーはこれまた今年手に入れたM1 iMac 24インチのイエローと同じくイエローを選んだ。ともかくiPadを購入したのはほんと久しぶりである。


iPad 10_01

※Apple 無印 iPad(第10世代)無印パッケージ


iPadは2010年1月27日、Appleのスペシャルイベントにて故スティーブ・ジョブズによって発表された。ただし日本での販売は遅れに遅れたものの、私はクライアントからいち早く支給された技適マーク無しの製品を使い始めたことが懐かしい…。

iPad 10_00

※最初のiPadを発表する故スティーブ・ジョブズ


ちなみにiPadの発表を知った直後の個人的な感想あるいは思いは発表の二日後に当ブログに掲載した「iPadはまさしくアラン・ケイの夢見たDynabookの実現か?」をご一読願いたいが、振り返って見てもあながち見る目は狂っていなかったと思う(笑)。
ただし個人的にこれまで初代iPadはもとよりiPad mini(2012年)および iPad Pro (2016年)を使ってきたものの結局満足できずに手放してしまった…。

iPad 10_02

※カラーはイエローを選んだ


したがってiPadを手にするのは6年ぶりということになる。
その大きな動機となったのはiOS 16.2 にアップデートされたパワーアップにあるが、特に新たにAppleから供給された「フリーボード」というアプリケーションだった。どこか既視感を感じさせる自由度の高さはAppleにスティーブ・ジョブズが復帰後の1997年3月に開発が廃止されたOpenDocおよびCyberDogを思い出させた…。

ともあれこのiPadで大それたことをやろうと考えているわけでは無く、ほとんどはメモ書きおよびそれを何らかの形で保存していくことのために使うつもりだが、前記した「フリーボード」はもとよりデスクトップ機やiPhoneとの連携において自分なりに新しい環境を作り出したいと考えているし、ソフトウェア開発を生業にしてきた一人としては「フリーボード」を体験して新しいアプリケーションを企画してみたいとも思わせるワクワク感がある。
なお予算の関係もあり、ペンとケースは純正品では無くサードパーティー製の安物にしたが今のところ特に不満は感じられない。

iPad 10_04

※やはり黄色のケースにペンシルと共に収めてみた


iPad本体はベゼルが狭くホームボタンも無いオールスクリーン仕様の10.9インチLiquif Retinaディスプレイを採用。特に横型で利用することを意図した横向きのステレオスピーカーや12MP超広角フロントカメラも強力だ。
勿論それらを支えるA14 Bionicチップ、6コアCPU、4コアのグラフィックスと16コアNeural Engineおよび iOS 16.2により複数アプリを同時に使えるようになったし6年前と比べるまでも無く魅力的なアプリも豊富になった。事実そのオペレーションはストレスなどまったく感じられずいまさらではあるが、まさしく紙を相手に記入している感覚に近い。

今般iPadをあらためて手にしようとした動機はデジタルを突きつめてきたつもりが、手描き…手書きの重要性に気がついたといったら笑われるだろうか。しかし長きにわたり手で文字を書き、図を描き、あるいはイラストを描いてきたが、結局ここに来てキーボードやマウスで事に当たるだけでは済まない…不便なことがあることを感じさせるようになったからだともいえる。
さて6年ぶりのiPad、手に馴染むのだろうか…。



レーザー加工機 xTool M1専用ローラー回転機/4-in-1 RA2 Proレポート

レーザー加工機 xTool M1の周辺機器への投資(散財とも言う)が止まらず困ったものだ…。と一応冷静さを保っている一方でxTool M1の活用世界を大きく広げるであろうこの専用4-in-1 RA2 Proの入手を喜んでいる。


前記事「レーザー加工機 xTool M1用 ハニカムパネル付きライザーベースとは?」で「 xTool M1を購入した際にセット品としてRA2 Proの前機種RA1が付いていたから今のところRA2 Proを購入する予定はない…」と書いたその舌の根も乾かないうちにRA2 Proを手にした訳で…自分でも自制心のなさに驚いている(笑)。

RA2Pro_09.jpg

※RA2 Proのパッケージ


では4-in-1 RA2 Proとはなにか…。それはローラーロータリー、チャックロータリー、球体彫刻モジュール、リング彫刻スタッドを含む世界初だという4-in-1のレーザー回転台である。

RA2Pro_07.jpg

※RA2 Pro本体と主なモジュール三点


なぜ4-in-1 RA2 Pro(以下 RA2 Pro)がxTool M1の活用世界を広げると言うのか…。それはレーザー加工をしたい、する材料というかアイテムは真っ平らな板状のものばかりではないからだし、回転台といっても均一な円筒形の物ばかりを対象とする訳でもない。

コップ、マグカップ、タンブラー、ワイングラス、ボトル類、そして極端かも知れないが球形のものや指輪といった極小のリングなどへの刻印はxTool M1本体だけでは無理だ。
また念のためだが均等な筒型で相応のサイズならRA1という旧機種でも刻印できるが、大体日常の実用品は単純な円筒形といったものは少なく、カーブしていたり不定形だったりするがこうなるとRA1では難しくなってくる場合が多い。

RA2Pro_01.jpg

※均一な円筒形のものであればRA2 Pro本体のローラーモジュールだけで加工可能


その点RA2 Proはその名の "4-in-1" の通り、基本となるローラーロータリーの他に三つの爪でオブジェを挟み込むとかスフィアロータリーと言って球形を安定にホールド回転させるアクセサリー、指輪のような小さなサイズを含むリング状のオブジェを支えるリングロータリーといったアクセサリーを有している。
これらのアクセタリーを交換セットすることで前記した様々な形状のアイテムをxTool M1で扱えるようにするのがRA2 Proの役割なのだ。

RA2Pro_05.jpg

※マグカップならチャックモジュールを使い安全に固定可能


RA2Pro_04.jpg

※球形のものならスタッド部品とテールモジュールで…


RA2Pro_06.jpg

※ワイングラスのように足が長くて細い場合はサポートモジュールを使う


ということでこれまでレーザー刻印したいけれど出来なかったことをこのRA2 Proは実現してくれるという意味で夢のツールだともいえる。
ただし実際にはRA2 Pro本体は組み立て済みのモジュラー設計だとはいえ、対象となるオブジェならどのアクセサリーが良いのかといった判断は勿論、オブジェの刻印するエリアをいかに水平にセッティングするか…といった事については当然ながらユーザーが心しなければならない。この点を配慮するため、製品パッケージは小さな水平器が同梱されている。

さて、RA2 Proを使う際にひとつ大切なことを知っていただかなければならない。それはRA2 Proの上に何らかの加工材料を乗せてxTool M1庫内に置くとノーマルというか元のままのxTool M1そのままでは使えないからだ。
どういうことかといえば高さが出るため、レーザーユニットが加工材料にぶつかったり、フォーカス合わないからだ。
そのためRA2 ProにはxTool M1本体を底上げするための木製ブロックが4つ同梱されている。

RA2Pro_10.jpg

※RA2 ProにはxTool M1本体を底上げするための木製ブロックが4つ同梱されている


これを使って適当な高さにxTool M1を高くするか別売のライザーベースを使う必要があり、なおかつ実際に使ってみるとXCSアプリ画面表示する内蔵カメラの映像はベースプレートに平たい物体を置いた場合と違い、視差の差からか映像がかなり歪んで見えるしハニカムパネルの上にRA2 Proを乗せるとモニター上の映像はハニカムパネルのカラーにRA2 Proが溶け込み真っ黒で位置が判別しにくい。さらにレーザー円筒加工にすると画像は90°回転した形で表示する。
したがって板状の物への刻印とは違った環境の違いに慣れると同時にユーザーレベルで工夫も必要になる場合もある…。

ともあれRA2 Proの能力を試すため、すでにワイングラス、木製のボール、そして金属製の指輪への刻印を試みたが、これまで不可能だと考えていた事案が解決できて喜んでいる。



レーザー加工機 xTool M1用 ハニカムパネル付きライザーベースとは?

レーザー加工機 xTool M1用のオプション製品であるライザーベース(Riser Base)のお話しをしたいと思う。 xTool M1用のオプションには他にエアーアシスト(Air Assist)や煙清浄機あるいは球体や円筒形の加工を可能とするRA2 Proがあるが、それぞれ安価なものではないのでどれを優先するかが問題だった…。


いろいろと熟考した結果、私はすでにレポートしたエアーアシスト(Air Assist)と今回の主役であるライザーベース(Riser Base)を優先した。ちなみに xTool M1を購入した際にセット品としてRA2 Proの前機種RA1が付いていたから今のところRA2 Proを購入する予定はない…。

RiserBase_01.jpg

※ライザーベースを敷いたxTool M1レーザー加工機


さて最初のオプション製品としてライザーベースを選んだのは取り急ぎ、即作業性に直結するからだ。それは高さを必要とする材料に対し刻印するとかRA1を使う際に必ずといってよいほど必要となる…。
どういうことか…。

RiserBase_02.jpg

※附属のマニュアル表紙。このようにライザーベースは左右のプレートと前後の遮光アクリルパネルで構成されている


xTool M1本体には作業の際に材料となるものを乗せる金属製の板(ベースプレート)がついている。そこに彫刻なり切断する材料を、あるいはブレード切断する際にはカッティングマットを置く訳だ。

RiserBase_03.jpg

※ライザーベースとxTool M1を少し横から眺めた写真。左はエアーアシスト


しかしこのベースプレートは高さの調整はできない。そして肝心なのはレーザーモジュールの焦点が合う範囲として材料の厚さは最大16mmという制限に縛られる。
もうすこし細かく説明するなら、レーザーモジュールが初期位置(最高位置)にあるとき、レーザー発振部は35mmの範囲で上下できる設計になっている。ただし途中でベースプレートがあるためベースプレートを使う場合は前記したように16mmまでフォーカスを合わすことが出来、もしベースプレートを外した場合はベースプレートの位置から尚19mm下までフォーカスを動かすことが出来きる。

RiserBase_07.jpg

※オプションのRA1を使い円筒形の材料に刻印をする場合にもライザーベースは不可欠といって良いほどのアイテムだ


したがってもし加工したい材料が16mmを越えていたりRA1やRA2 Proなど使いたいとなれば物理的に焦点を合わすためにはベースプレートを外し、さらに xTool M1本体を底上げしなければならなくなる。事実RA1にはM1底上げのために木製の足が4つ同梱されている。

まあ…この木製の足はあくまで一時的なものであり、不安定である以前にxTool M1の下が開いてしまうのでいくらダクトがあっても周りに臭いや煙がただ漏れしてしまう。
そしてまたRA1やRA2 Proはともかく現実には何らかの箱であったり不定型な厚みを持った材料に加工が必要であったりと様々なケースがあり、その度に底上げしていたのでは効率が悪くモチベーションが下がってしまう。

そこでライザーベースの出番となる!
製品は左右のユニットの前後に遮光アクリルの板を配したシンプルなもので、ネジ留めなどは必要なく乱暴な言い方をするなら、ただ置くだけだ。だがよく考えられた作りになっている。
組立はM1の足幅に合わせて机上に設置したライザーベースにM1本体を設置(乗せる)するだけだ。
一見不安定では…と感じるが、M1本体がきちんと乗るとしっかりとライザーベースも安定する。その後に遮光アクリル板を前後切れ込みのある部位を下に差し込むが、この切れ込みは遮光アクリル板を外しM1内部にアクセスする際に持ち上げやすいような工夫である。

このライザーベースの左右内側は金属製のラックがあり、M1本体のベースプレートはもとより附属のハニカムパネルの高さを4段階調節できるようになっている。

RiserBase_04.jpg

※加工する材料の厚みによりハニカムパネルの高さを4段階調節できる


要はレーザー加工する材料の厚みを考え、レーザーの焦点が合う高さにハニカムパネルを位置させることになる。事実前面の遮光アクリル板を外すと、右側のベースにα・β・ΥとPA2 Proの使用を想定した材料の高さによるハニカムパネルの設置位置の目安のガイドが表示されている。

RiserBase_06.jpg

※オプションのRA2 Proの利用を例にハニカムパネルをどの高さにすべきかのガイドも表示されている


そしてもしそれでも自動焦点距離が働かない場合はライザーベースに同梱されている専用の定規を使いレーザーモジュールと加工材料との距離を調節確認することになる。

RiserBase_05.jpg

※自動焦点機能が働かない場合はこうした施用のスケールが必要になる


したがってこのライザーベースがあれば、RA1やRA2 Proはもとより、さまざまな厚さの材料を加工したい場合にも遮光のアクリルプレートを外せば即内部にアクセスできるし通常の使用では煙や臭いも気にならない。
そして附属のハニカムパネルは彫刻や切断時空気の流れを作れるため、材料が汚れにくくなる利点をもている。
さらに、xTool M1の奥行きを超える長さの材料の場合にも前後の遮光のアクリルプレートを外せば物理的に背面に余裕がある限り、目的の位置に加工ができる理屈だ。

と言うわけで、このライザーベースはxTool M1を約14cmほど底上げとなるが一般的な高さ70cmの机上にセットアップしても大人の場合は特に使いにくいことはないはずだ。そして特筆すべはxTool M1本体を底上げした結果、レーザーユニットのレンズ部位の掃除といったメンテもやりやすくなったことだ。
ただしブレードを使う場合はベースプレートを元の位置に戻す必要はあるが…。



レーザー加工機 xTool M1用エアーアシストとは?

レーザー加工機 xTool M1への投資は続く…😅 さて過日のRiser Baseに続きM1専用のエアーアシスト(Air Assist)を購入した。一見無骨なこの製品はどのような役割があり、どれほどの効果があるのだろうか。今回はそのファーストインプレッションをお届けしたい。


まず知っていただきたいことだが、レーザー加工機で例えば木材に彫刻を施す場合、あるいは切断する場合、それは集光されたレーザー光の驚くほどのパワー(熱)で焼き切る理屈だと考えられる。したがってその場合には粉塵が飛ぶし煙や臭いも生じる。

AirAssist_01.jpg

※レーザー加工機 xTool M1用エアーアシストパッケージ


その煙りや臭い、そして粉塵は一般的にはダクトを通して屋外へ出すとか専用の集塵機で処理することになるが、ここで問題なのは作品、彫刻や切断している材料への悪影響である。
どういうことかといえば、木材に限ってもレーザーが当たった部位は茶色く焦げるのが普通だ。その理由は前記したように熱により焦げたからだ。

AirAssist_03.jpg

AirAssist_02.jpg

※エアーアシスト本体(上)とパッケージ同梱品


したがって材質にもよるが例えばMDFボードを切断したり彫刻する事を考えると切断面はもとよりその周囲が焦げて汚れることになる。まあ切断の際の断面は仕方がないとして、粉塵や煙による汚れが材料全体に及ぶ可能性は否めない。
処理が終わってから拭き掃除してその汚れが軽減する場合もあるが、現実問題しては削るなどしないと汚れは取れない…。

そうした不都合を回避しようとするのがエアーアシストなのである。
どいうことか…。
それはこのエアーアシスト本体はポンプであり、効果的な空気を接続したパイプ経由でレーザーヘッドに磁石で取り付けられるノズルから噴射する…。
これにより以下の効果が生まれるという。

AirAssist_06.jpg

※エアーアシストを取り付けたレーザーノズル先端。右の金色の部位はブレード


① 作業中に発生する煙や粉塵を吹き飛ばし、レーザーがより速く、より深く切断するのを助け、レーザー加工の効率を高める。
② 切断された材料表面の温度をすばやく下げ、高温による歪みや変色を防ぎ、滑らかな線、完全なパターン、およびきれいな表面を確保できる。
③ レーザーヘッドの作業中に発生する煙や粉塵を吹き飛ばすことでレーザーヘッドのレンズを汚染から保護し、耐用年数を延ばす。

こうした効果は実際にエアーアシストを使った場合と使わない場合で比較すれば明白だ。同じ材料を使い同じパラメーターで切断してみたが、確かにエアーアシストの効果は歴然としていて作品作りの質を向上させてくれる。
今回は3mmのMDFボードをパス1回でカットした例だが、例えばもっと厚い板を数回のパスで繰り返すとすればこの汚れはもっと顕著になる。

AirAssist_08.jpg

※一例として3mmのMDFボードをパス1回でカットした


特にMDFは粉塵が飛んでレーザー加工機庫内の汚れも多いし、一日あれこれと使った後に庫内の掃除をすると拭いた布があっと言う間に脂色に染まる。要はエアーアシストがなければこれだけの汚れの一端が成果物に付着する理屈なのだ。

AirAssist_09.jpg

AirAssist_10.jpg

※写真上はエアーアシストを使わなかった例だが、赤丸で囲った部位などが汚れている。対して下はエアーアシストを使った一例。比較すればその差は歴然だ。



ただし効果は歴然としても心配は振動と騒音だった。メーカーが示すスペックには xTool M1用エアアシストは騒音や振動が少ないという利点があり、レーザー彫刻機の作業中に、エアアシストによって生じる振動はレーザーヘッドの定位に影響を与えないとある。
しかしこれまた自分の環境下で確認するまでは分からない…。

ともあれ結果は杞憂に終わった。確かにエアーアシスト本体はブルブルと振動しているがそれが置かれている机に手を触れるも振動は伝わってこない。これは背面の特殊なゴム足の効果のようだ。そして騒音もxTool M1が動作している場合はほとんど気にならないことが分かった。

なおセッティングは難しくはないが後々問題が生じないようにエアアシスト本体からxTool M1庫内に引き込むチューブの配置は丁寧に行う必要がある。
また繰り返すがレーザーヘッドに取り付けるエアーノズルは磁石なので取り付けも取り外しも簡単で、取り外した際の置き場所も用意されいる。したがって必要と思われる場合に取り付ければよい…。

AirAssist_07.jpg

※取り外した際にはこのように収納できる


ひとつ難があるとすればレーザー加工機…特にボックス型のxTool M1は庫内に発生した煙や粉塵を通常ならファンで強制的にダクトを通して屋外へ排出されるわけだが、エアーアシストを動作させると粉塵や煙はポンプからの強い空気でまず拡散されるため、庫内の汚れが目立つことになる。

AirAssist_11.jpg

※半日稼働させた庫内を拭いた汚れ。焦げというか脂というか…かなり汚れる


成果物がきれいになる分、より頻繁にレーザー加工機自体の掃除やメンテが必要になってくるに違いない。




広告
ブログ内検索
Macの達人 無料公開
[小説]未来を垣間見た男 - スティーブ・ジョブズ公開
オリジナル時代小説「木挽町お鶴御用控」無料公開
オリジナル時代小説「首巻き春貞」一巻から外伝まで全完無料公開
ラテ飼育格闘日記
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

mactechlab

Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員