紀田順一郎著「蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか」読了
紀田順一郎さんの新刊を発売前に届けていただいたので早速手に取ってみた。タイトルは「蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか」だが、紀田先生のこれまでの著書とは違い些か気持ち的に重い本だった。なぜなら紀田先生にとってかけがえのない蔵書のほとんどをやむなくとはいえ処分されたレポートであり、蔵書の可能性と限界についても考察した興味深い一冊である。
ご存じの方もいらっしゃると思うが、私は1989年「FAX交遊録〜MACの達人」という本を紀田先生と共著で出版した経緯があり、今でも時折FAXならぬメールで近況をお知らせいただいている関係上、先生が命の次にも大切と考えてきた蔵書を処分された前後の事情を多少なりとも知っている1人だ。
さらに本好きの1人として、紀田先生と親しくお付き合いさせていただき、いわゆるOA化書斎を構築された時代もリアルタイムに承知していることでもあり、本書が先生にとってどれほど重みのある一冊であるかを考えざるを得ない。
しかし「あとがき」にも記されているが「…難しい本にする気はないので、筆者自身の蔵書構築と失敗のいきさつや、日ごろ見聞きしている蔵書家の悩みなども多くのエピソードをまじえて記してみた」とあるように内容は大変読みやすく一気に読んでしまった。

※紀田順一郎著「蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか」松籟社刊
仕事がご趣味で趣味がそのまま仕事であると先生ご自身が書かれているが、その背景に数万冊もの蔵書があったことは想像に難くない。とはいえ300冊程度の蔵書と棚ひとつに納めているコンピュータ関連資料および十数機種の歴史的なパソコンをよすがにしてきた私にもレベルの深さは到底違うもののそのお仕事の生命線ともいえる辞典(事典)をも含めて決別の決心をされ、処分せざるを得なかったお気持ちは痛いほど伝わってくる。
そうした人生の伴侶ともいえる蔵書の処分にまつわる出来事を主軸に、そもそも蔵書とはなんだろうという命題に取り組んだのが本書なのだ。
近代日本の出版史・読書文化を振り返りながら、ひととき「蔵書」の意義と可能性、そしてその限界を探る旅にご一緒されてはいかがだろうか。
また大変僭越だが、私にとって本書は紀田順一郎さんをより身近に感じた一冊でもあった。
ご存じの方もいらっしゃると思うが、私は1989年「FAX交遊録〜MACの達人」という本を紀田先生と共著で出版した経緯があり、今でも時折FAXならぬメールで近況をお知らせいただいている関係上、先生が命の次にも大切と考えてきた蔵書を処分された前後の事情を多少なりとも知っている1人だ。
さらに本好きの1人として、紀田先生と親しくお付き合いさせていただき、いわゆるOA化書斎を構築された時代もリアルタイムに承知していることでもあり、本書が先生にとってどれほど重みのある一冊であるかを考えざるを得ない。
しかし「あとがき」にも記されているが「…難しい本にする気はないので、筆者自身の蔵書構築と失敗のいきさつや、日ごろ見聞きしている蔵書家の悩みなども多くのエピソードをまじえて記してみた」とあるように内容は大変読みやすく一気に読んでしまった。

※紀田順一郎著「蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか」松籟社刊
仕事がご趣味で趣味がそのまま仕事であると先生ご自身が書かれているが、その背景に数万冊もの蔵書があったことは想像に難くない。とはいえ300冊程度の蔵書と棚ひとつに納めているコンピュータ関連資料および十数機種の歴史的なパソコンをよすがにしてきた私にもレベルの深さは到底違うもののそのお仕事の生命線ともいえる辞典(事典)をも含めて決別の決心をされ、処分せざるを得なかったお気持ちは痛いほど伝わってくる。
そうした人生の伴侶ともいえる蔵書の処分にまつわる出来事を主軸に、そもそも蔵書とはなんだろうという命題に取り組んだのが本書なのだ。
近代日本の出版史・読書文化を振り返りながら、ひととき「蔵書」の意義と可能性、そしてその限界を探る旅にご一緒されてはいかがだろうか。
また大変僭越だが、私にとって本書は紀田順一郎さんをより身近に感じた一冊でもあった。
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