ラテ飼育格闘日記(128)

ワンコは我々人間とは比較にならない高度な嗅覚を持っているし聴力だって人間よりはるかに高い音まで聴きわけるという。ただし視力に関してはあまり頼りにならないというのが定説になっている。かなりの近視だという説もあるが、日常ラテと生活しているとどうやらそんな単純なものではないように思えるのだが...。

 

近視ということは一般的には近くのものは判別できるが一定以上の距離にあるものは判別しにくくなるはずだ。しかしラテをはじめお仲間のワンコたちを観察しているとどうも違うように思える。
なぜなら鼻先にオヤツを差し出すと一瞬臭いを嗅いで確認したりあるいは一度口に咥えるが地面に落として確認する場合がある。したがってワンコだからといって差し出されたモノを闇雲に食べるばかりではないのだが、こうした行為は個体差も大きい。しかしいくら嗅覚が優れているワンコだといっても差し出されたものを視覚で判断できないのかと思うが、実はワンコの目は70センチ以内になると焦点が合わないのだ。
これは単に視力の問題というより目の構造にかかわることだという。

我々人の目は両眼共に前方を向いているがワンコの目は40度ほど外側を向く構造になっている。このため犬種にもよるものの一般的にワンコは人間より視野が広いということになる。したがって逆に両眼による立体視が可能な範囲は人間よりかなり狭く、結果として目の前には焦点が合わないらしいのだ。

スティーブン・ブディアンスキー著「犬の科学」によれば200頭あまりのペットの犬の視力を調べた検査では全体の平均値はほぼ正常に近かったものの、狩猟犬であるレトリーバー種、コッカー・スパニエル、スプリンガー・スパニエルは平均してやや遠視だったという。そしてロットワイラーの2/3、ジャーマン・シェパードとミニチュア・シュナウザーの半数がかなりの近視だった。
要は個体差により正常な視力を持つワンコもいれば、遠視あるいは人間ならメガネを必要とするような近視のワンコもいるということになる。

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※ラテの見上げる視線には抗しがたい魅力がある


ワンコの視覚と嗅覚を小説で描いた例としてシャーロッキアンのオトーサンが印象的なのがシャーロックホームズの1編「ショスコム・オールド・プレイス」だ。
ポイントだけ説明すると飼い主が大事にしていた愛犬は不都合があったとかで屋敷から出されてしまう。
ホームズはその犬を預かり、飼い主が馬車で散歩に出かける時間を見計らって待ち伏せ、その犬を放す。犬は喜び勇んで飼い主の馬車に駆け寄るが瞬間喜びが激しい怒りに変わったようでそのスカートに猛然と噛みつく...といったストーリーである。
種を明かせば馬車に乗っていたのは本物の飼い主ではなく身代わりだったというわけだが、この小説が発表された当初から「犬は見た目でごまかせることはない」として姿だけを見て喜び勇んで駆け寄り、他人だと分かったからといって怒るようなことはない...といった意見が専門家と称する人たちからも多かったようである。
それらの根拠として犬は視覚に頼らず、嗅覚と聴覚だけに頼っているからというのがその理由のようだ。

しかしこのストーリーでは当然のことながら身代わりは本物の飼い主の身につけていた服を着用し、ビクトリア調時代だからして鍔の広い帽子とベールで顔を隠していたことになっている。したがってもし犬が視覚に頼らずうんぬんだとしても本物の飼い主が着用していた衣服を着ているのだから飼い主と認識し喜び飛びついてもよさそうではないか。
それにラテを見ていると鼻面の近くはともかく、意外と視覚にも頼っているように思えるのだ。

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※散歩の帰り道,空いたペットボトルをサッカーボールよろしく口でリフティングし蹴飛ばして遊ぶラテ


例えばラテを可愛がってくれる小学生の女の子がいる。たまたまそのオカーサンと愛犬と共に公園で会うが、女の子の姿がかなり遠くに見えたとき、そして風下でもないときにでもラテはそれと気づいて駆け寄る。
またラテに会うと「ラテ...ラテ」と呼んでくださり餌をくれる奥さんがいるが、同じくかなり遠くにその方と愛犬が見えると「ウォンウォ~ン」と一種の要求吠えをしながらリードを引いて近づこうとする。
こうしたことを嗅覚や聴覚だけで認識しているというのはいかに優れた嗅覚・聴覚を持つワンコとはいえ無理があるように思える。無論ワンコでも個体差があるだろうが、少なくともラテはかなり視覚も優秀だと考えざるを得ない。
同じことはラテだけではない。ラテが大好きなマキちゃんという雄犬はオトーサンがラテともに公園に入るその姿をかなりの遠くから認識し、オヤツを欲しさに猛烈な早さで駆け寄ってくる。
面白いのはオトーサンに対してだけではなく、馴染みの飼い主さんを見つけると同じように駆け寄るのだが、たまに相手を間違えることがある点だ。それはやはり視覚に頼るからこその間違いではないだろうか...。

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※砂が敷いてある公園でオトーサンと軽快に駆けるラテ


本来ワンコは夜間視力も人間より優れているはずだ。他の夜行性動物と同じくワンコの網膜後方にはタペタム・ルシダムと呼ばれている特殊な細胞層があるが、この細胞層は反射鏡の役割を果たす。
猫や犬の目が光に反射するのはこのためである。網膜を通過してきた入射光を反射し、もう一度光の受容細胞に戻すことにより飛び込んできた光粒子を可能な限り検出しようとする働きをするわけだが、この仕組みは特に弱い光の場合は不可避的に像をぼやけさせるという...。
ラテだけではないようだが、そうしたことのひとつの証明として、夕刻になり公園全体が薄暗くなる頃になるとちょっとした人通りに向かっても吠えるようになる。それは近づく人が真っ昼間とは違い、誰だか視覚で判断が付きかね、不安になって吠えるのだとオトーサンは考えているのだが...。
しかし本来ワンコは動体視力に優れているから、制止していれば400メートル先でやっと見える目標でも動いていると800メートル先でも特定できる場合があるという。
だとすればワンコにもよるだろうが、視覚により物事を判断することも多々あるようだし、その視力もなかなか良いように思えるのだ。
ラテはきっとその優秀な視力でも日々オトーサンたちを観察しているに違いない。

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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。日本シャーロック・ホームズクラブ会員。日本リュート協会会員。ゆうMUG会員