MacBook Air 11インチに見るAppleの細部へのこだわり
一時期、いや今でもアップルの製品はデザイン主導で売れていると思っている人たちがいる...。確かにAppleにとってデザインは単なる製品の外観ではなく製品の価値そのものなのだが近年は細部に至るまで実に心憎い物作りをしていることが知れ始めている。今回はその一例としてMacBook Air 11インチのUSBポートをご紹介しよう。
Appleは他のメーカーと製品作りの姿勢・視点が根本的に違うと同時にこだわり方が尋常ではなく細部まで徹底していることが特徴である。
今回ご紹介するのは極々些細な点であり、普通ユーザーはそこまで見ないと思われる部位...MacBook Air 11インチのUSBポートがテーマである。
MacBook Air 11インチには左右に1つずつUSB 2.0のポートが備わっている。左右にあることで接続する機器類の取り回しがやりやすいのは勿論だが、そのUSBポートをよくご覧いただきたい。
MacBook Air 11インチに装備されているUSBのポートは通常A型コネクタなどと呼ばれているものを装着するためのポートだが、そのキモはコネクタ側のソケット内にある4つの端子である。この端子がコネクタを差し込むことでUSBポート側の端子と接触するわけだが、その4つの端子をよく見ると両側の端子が長めになっているのがわかるはずだ。


※USB A型コネクタ(上)とその内部端子部位の拡大(下)。両端の端子が長いことがわかる
両側の端子は電源供給のためのピンであり、その意味はコネクタが抜き差しされるとき電源が入っていないまま中央2つのデータ端子に電圧がかかり、機器を破損するのを防止するためである。ただしポート側の4つの端子の長さは同じである。こうした点は仕様としてどの製品も同じなはずである。
さらにポートに挿したコネクタがほどよく接触固定するようにとUSBコネクタのソケット両側にはそれぞれ2つの四角い穴がある。
この穴にポートの両内側にあるバネ状の突起が収まり、同時にこれまたポート左右にある小さなバネ状突起でコネクタを固定する仕組みになっているわけだ。

※MacBook White (Early 2006)のUSBポート。写真ではポート内部の上側に左右2つ細い板状の部材を曲げて作られた突起がある
さて本題だが、USB 2.0のポートにある前記した2つの突起は通常細い板状のものを曲げて突起を作り、その金属板の反発をバネとして利用するのが一般的である。
お手元のUSBポート内を是非いくつか観察していただきたいが、それらは基本的に同じであり例えばiPad用のDock Connecter KitのUSBケーブルを差し込むポートやApple Keybord(テンキー付き)左右にあるポート、Mac Pro (Early 2008)そして最新 iMac背面のUSBポートも同様な構造である。
無論私の手元にあるAppleの最新機種は限りがあるのですべてを確認したわけではないが、これまでの機種は皆同じだと思われる。
しかしMacBook Air 11インチのUSBポートの構造は違うのだ!
よくよく確認してみるとそれらのバネ状の突起は左右のそれも含めて半球型の突起になっているのである。

※MacBook Air 11インチのUSBポート内部。こちらのコネクタ止め突起はポートの左右も含めて半球型になっている
このバネ...スプリングの役割と共に接触を図る半球型のデザインはどこかで見覚えがあると思ったが、それはあのApple Battery Chargerの接点を連想させる。

※Apple Battery Chargerのマイナス電極端子はスプリング付きの半球型デザインだ
Apple Battery Chargerのマイナス側に置かれた半球型の接点はそれ自体が内蔵されているスプリングにより上下し、充電のために取り付ける単三電池をしっかりとホールドしている。
ただしMacBook Air 11インチの半球型突起は私が確認した範囲ではそれとは違い、ベース素材の反発を効果的に使っているようだ。
いずれにしても一般的な仕様の部材を使わず、こうした細かな部分についてもオリジナルなデザインを通すことはコストも含めてなかなかできないことだ。
ではなぜAppleはこんな些細なこと...と思われるような部位にまでこだわるのか...。それこそデザインも製品価値のひとつと考えているAppleらしさなのだが、そのこだわりは確実に旧来のものより美しいことがまずあげられよう。そしてこの種のポートには一般的に蓋がないため、半球型接点は従来の仕様と比較して埃などに対してもトラブルが生じにくいと思われる。事実USBポート内をあらためて覗いてみると予想以上に埃をはじめとして汚れているのには驚いた...。さらに耐久性向上にも貢献できるに違いない。
この仕様のUSBポートが他にも使われているかは現時点で不明だが、前記したように私の手元にある機器類ではMacBook Air 11インチが初めてである。
MacBook Air 11インチを眼前にすると我々はそのユニボディの美しさといったことにまず目を奪われがちだが、通常人の目がふれないUSBポート内の構造に至るまでこだわりを持つAppleという企業精神を我々はもう一度見直す必要があるだろう。
Appleは他のメーカーと製品作りの姿勢・視点が根本的に違うと同時にこだわり方が尋常ではなく細部まで徹底していることが特徴である。
今回ご紹介するのは極々些細な点であり、普通ユーザーはそこまで見ないと思われる部位...MacBook Air 11インチのUSBポートがテーマである。
MacBook Air 11インチには左右に1つずつUSB 2.0のポートが備わっている。左右にあることで接続する機器類の取り回しがやりやすいのは勿論だが、そのUSBポートをよくご覧いただきたい。
MacBook Air 11インチに装備されているUSBのポートは通常A型コネクタなどと呼ばれているものを装着するためのポートだが、そのキモはコネクタ側のソケット内にある4つの端子である。この端子がコネクタを差し込むことでUSBポート側の端子と接触するわけだが、その4つの端子をよく見ると両側の端子が長めになっているのがわかるはずだ。


※USB A型コネクタ(上)とその内部端子部位の拡大(下)。両端の端子が長いことがわかる
両側の端子は電源供給のためのピンであり、その意味はコネクタが抜き差しされるとき電源が入っていないまま中央2つのデータ端子に電圧がかかり、機器を破損するのを防止するためである。ただしポート側の4つの端子の長さは同じである。こうした点は仕様としてどの製品も同じなはずである。
さらにポートに挿したコネクタがほどよく接触固定するようにとUSBコネクタのソケット両側にはそれぞれ2つの四角い穴がある。
この穴にポートの両内側にあるバネ状の突起が収まり、同時にこれまたポート左右にある小さなバネ状突起でコネクタを固定する仕組みになっているわけだ。

※MacBook White (Early 2006)のUSBポート。写真ではポート内部の上側に左右2つ細い板状の部材を曲げて作られた突起がある
さて本題だが、USB 2.0のポートにある前記した2つの突起は通常細い板状のものを曲げて突起を作り、その金属板の反発をバネとして利用するのが一般的である。
お手元のUSBポート内を是非いくつか観察していただきたいが、それらは基本的に同じであり例えばiPad用のDock Connecter KitのUSBケーブルを差し込むポートやApple Keybord(テンキー付き)左右にあるポート、Mac Pro (Early 2008)そして最新 iMac背面のUSBポートも同様な構造である。
無論私の手元にあるAppleの最新機種は限りがあるのですべてを確認したわけではないが、これまでの機種は皆同じだと思われる。
しかしMacBook Air 11インチのUSBポートの構造は違うのだ!
よくよく確認してみるとそれらのバネ状の突起は左右のそれも含めて半球型の突起になっているのである。

※MacBook Air 11インチのUSBポート内部。こちらのコネクタ止め突起はポートの左右も含めて半球型になっている
このバネ...スプリングの役割と共に接触を図る半球型のデザインはどこかで見覚えがあると思ったが、それはあのApple Battery Chargerの接点を連想させる。

※Apple Battery Chargerのマイナス電極端子はスプリング付きの半球型デザインだ
Apple Battery Chargerのマイナス側に置かれた半球型の接点はそれ自体が内蔵されているスプリングにより上下し、充電のために取り付ける単三電池をしっかりとホールドしている。
ただしMacBook Air 11インチの半球型突起は私が確認した範囲ではそれとは違い、ベース素材の反発を効果的に使っているようだ。
いずれにしても一般的な仕様の部材を使わず、こうした細かな部分についてもオリジナルなデザインを通すことはコストも含めてなかなかできないことだ。
ではなぜAppleはこんな些細なこと...と思われるような部位にまでこだわるのか...。それこそデザインも製品価値のひとつと考えているAppleらしさなのだが、そのこだわりは確実に旧来のものより美しいことがまずあげられよう。そしてこの種のポートには一般的に蓋がないため、半球型接点は従来の仕様と比較して埃などに対してもトラブルが生じにくいと思われる。事実USBポート内をあらためて覗いてみると予想以上に埃をはじめとして汚れているのには驚いた...。さらに耐久性向上にも貢献できるに違いない。
この仕様のUSBポートが他にも使われているかは現時点で不明だが、前記したように私の手元にある機器類ではMacBook Air 11インチが初めてである。
MacBook Air 11インチを眼前にすると我々はそのユニボディの美しさといったことにまず目を奪われがちだが、通常人の目がふれないUSBポート内の構造に至るまでこだわりを持つAppleという企業精神を我々はもう一度見直す必要があるだろう。
- 関連記事
-
- スーザン・ケアのサイン入り、Macオリジナル・アイコン版画入手 (2011/05/02)
- Mac発表記念日にスティーブ・ジョブズの休職を憂う (2011/01/24)
- マイコンに夢中になった原点はこの一冊だった! (2011/01/21)
- 今年の冬は電気足温器で乗りきる覚悟 (2010/12/15)
- "Macintosh" という製品名は無くなるのか? (2010/11/19)
- MacBook Air 11インチに見るAppleの細部へのこだわり (2010/11/05)
- スペシャルイベントで発表の「Mac App Store」は世界を変える!? (2010/10/25)
- ジョン・スカリー氏、最近の発言についての考察 (2010/10/19)
- 新刊「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」を十分活用する心得 (2010/07/16)
- ビジネス回顧録〜他社が開発を失敗したネットツール開発顛末記 (2010/06/29)
- パーソナルコンピュータは果たして知性を増幅させる代物なのか? (2010/06/16)