ポータブル空気品質モニターで3Dプリンター稼働中を計測してみた

マスクやマスクフィルターといった製品の性能を推し量りたいと過日はハンドヘルドパーティクルカウンターなる計測器を手に入れたが、今回は重なる部分もあるものの「空気汚染測定器 (Air Quality Detector)」なる製品を手に入れた。


パーティクルカウンターが0.3μm、2.5μmそして10μmという3種の粒子の数を測定するのに対し「空気汚染測定器 」はその名のとおり、すばり空気汚染の指針となるTVOC、HCHO、CO2、AQIの4種の値を計測するものだ。

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※空気汚染測定器 (Air Quality Detector)


ちなみに汚染の指数となるべく項目を簡単に説明すると、TVOC(Total Volatile Organic Compounds 総揮発性有機化合物)はシックハウス対策には不可欠の指針であり、具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどなどであり、吸入し続けるとその程度によっては人体に悪影響(健康被害)を及ぼすことがある物質だ。そしてHCHOはホルムアルデヒドの検出。またCO2は申し上げるまでもなく二酸化炭素の濃度を表しAQI(Air Quality Index)は総じて空気がどのくらい汚染されているかを表す「空気質指数」で、健康への影響度合いを目安に「きれい」~「極めて汚れている」までの6段階で総合的な空気の質を表すものだ。

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※計測表示一例


一日のほとんどを過ごす仕事部屋の環境の良し悪しはやはり無視すべきではないし無関心ではいられない。事実お世辞にも掃除が行き届いたスペースではないし3Dプリンターが2台稼働し時に犬も入ってくる…。
これからは暑くなるし窓を閉め切り冷房のお世話になることも多くなるから、部屋の空気汚染状況を知りつつ換気を心がけたいと思ったわけ。と…まあ、理屈はそうだが一番はこの種のものへの好奇心だ(笑)。

ところで過日、とあるサイトで「米国研究機関が3Dプリンタから放出される有害物質と健康リスクに関する研究内容を発表」というニュースを読んだ。
これはジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)と化学物質の安全性を研究する非営利団体「UL Chemical Safety」の研究チームが、デスクトップタイプ3Dプリンタが室内の空気品質にどのように影響するかについて、2年間の調査を実施し調査の結果、3Dプリント中に放出された化合物には人体に有害な物質が含まれることを発表したというものだ…。
無論私などにはこうした報道の正確性について物申す知見がないので意見は言えないが、もともと例えば一般的なABSフィラメントを使えば相応の臭気があるし換気なくしてそのまま3Dプリンターを稼働させるのはいかにも健康に悪いであろう事は想像が付く。

だからということもあり個人的にはABSフィラメントは使わないように心がけているほどだ。換気と言っても専用の換気システムを設置出来るわけではないし、せいぜい窓を開けサーキュレーターで換気し室内にはPM2.5対応の空気清浄機を稼働させる…といった程度しかできないからだ。
その点PLAフィラメントでは臭気はまったくといって良いほど気にならないが、前記報道ではそのPLAも健康被害に無縁ではなく、3Dプリンタが稼働中に200種類以上の揮発性有機化合物(VOC)を放出していることを特定したという。そしてそれら200種類以上の粒子の90%以上が直径0.1ミクロン未満のナノ粒子サイズであり、これらの超微粒子の中には、既知の発癌物質であるホルムアルデヒドやスチレンやカプロラクタムなどの刺激物質を含む、揮発性有機化合物が含まれており、十分な換気が行われていない屋内で可動させた場合、人体に吸入された有害物質が、肺の深部にある組織および細胞に入り込み、心臓や血管および肺など、呼吸器系などに問題を引き起こす可能性があることを指摘しているのだ。
したがって今回手に入れた「空気汚染測定器 」なる製品も健康を維持するためには必要なアイテムと考えたわけ…。

さて、とはいえこのポータブルな空気質・大気質モニター「空気汚染測定器 」は小型で扱いも簡単だが安価なこともありその計測精度に全幅の信頼を寄せているわけではない。しかし指針にはなるであろうと考えた。
製品サイズは136× 65× 25mm、重さも約123gと軽量なのでどこへでも気軽に持って行ける。また背面には簡易スタンドがあるので、それを引き出せば本機を立てたままで使える。

バッテリーは3.7V、1000mAhを内蔵しフル充電で4~5時間のスタンバイが可能だというが、充電しながらも動作するのでもっと長時間、リアルタイムに状況の変化に注視することもできる。ただしユーザーマニュアルは中文と英語のみだが、電源を入れさえすれば2.8インチの液晶に値が一覧表示されるので使い方に迷うことはないはずだ。

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※本体は附属のUSBケーブルで充電して使う。また充電しながらの計測も可能


ただしマニュアルによれば、HCHO TVOC CO2の計測は、機器が正常に使用できるようになるまでの約30分間、良好な換気が必要だという。また起動後には120秒の予熱時間が必要で各計測アイテム共に0000から0120をカウントしてから計測が始まる。要は電源投入後2分間は計測できないということだ。
その後はバッテリーが続く限りリアルタイムに計測が続くし、繰り返すが充電しながらの計測も可能だ。

実際に私の仕事部屋に置いてみたが数値はかなり敏感に環境の変化によって変化する。液晶画面を眺めているとリアルタイムに計測しているという実感は感じられるし液晶もまずまず見やすい。
問題はその精度だが、無論プロフェッショナル用ではないから誤差も大きいだろうしあくまで指針として認識すべきだろう。ただしCO2ひとつとってもこれだけ安価で使い方が容易な測定機が存在すること自体楽しいではないか。

ということで最後に前振りした通り、実際に3Dプリンターを稼働した仕事部屋で計測した結果をご紹介したい。
仕事部屋は8畳ほどの広さだが、物が多いので混雑状態だ(笑)。そこにパソコンを始め通常2台の3Dプリンターが稼働できるよう設置してある。
部屋自体の換気は換気扇がないので窓を開けるしかないが、隣接しているリビング奥の台所には強力な換気扇があるので通常は多少でも空気の流れを作りたいとそれを動作させている。

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※3Dプリンター稼働前の仕事部屋計測結果


早速組立式…いわゆるフレーム型の3Dプリンター(JT-28-004-II)にPLAフィラメントをセットしてプリントを開始してみたが、その50cmほど離れた場所に「空気汚染測定器 」をON状態にしてリアルタイムの計測を試みた。
その結果だが、例えば私が部屋に入るとCO2の値が増えるという当然の変化はあるものの、今回のテストにおいては3Dプリンター稼働前と稼働中の各検査項目共に驚くほどの変化はなく、総じてAQIが「まあまあ綺麗」の”2”を表示し続けていた。

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※3Dプリンター1時間稼働している際の計測結果


さらに別途パーティクルカウンターで0.3μm、2.5μmおよび10μmの粒子を計測してみたが、これも3Dプリンター稼働前と気になるほどの変化はなかった。

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※別途パーティクルカウンターによる計測結果。特に汚れた環境下ではない事を示していた


ただし、厳密な意味で申し上げれば稼働前と稼働中を比べれば、CO2に約170ppmそしてTVOCに約0.43ppmそしてHCHOは約0.06ppmの上昇を確認出来た。
数値的にプリンターが稼働して1時間ほどのこうした結果が正しいとすれば私の環境下における3Dプリンター使用(PLAフィラメントに限る)は僅かに数値は多少上昇するものの繰り返すがAQIが ”2” を越えることはなかった。なお、引き続き3Dプリンターは稼働し続けたがその後も大きく数値は動かなかった。

ということで今すぐ健康被害に注視するほどではないということになるが、まあ長時間こうした環境下で呼吸していること自体、誉められる事ではないのかも知れない。やはり時々換気をした方が良いに決まっている。
ただし1時間半ほど稼働していた途中、愛犬が入って来てフローリングに伏せたと思ったらオナラをした(笑)。その途端に数分間だけご覧のように各値は急激に上がり、AQIはかなりの汚染度を示す ”4” を示した。ということは繰り返すが精度の高さはともかくこの「空気汚染測定器 」はきちんと計測していることは分かった。

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※計測中に愛犬が部屋に入って来てオナラをした際の計測結果(笑)。数値は急激に上昇した


まあまあ…当該機器類では精度的な限界があるし、そもそも大学や専門の研究チームに張り合うつもりはないが(笑)これからも有効的な活用を続けたい…。


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主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。マネキン造形研究中。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。
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