ポータブルレーザー加工機 ATOMSTACK P7 M40 ファーストインプレッション

昨年の春先、クラウドファンディングでLaserPecker 2というレーザー加工機を買った。安い買い物ではなかったが一時は詐欺に合ったかと思うほど発送が遅れ、問い合わせにも返答無しという有様だったが10月になってやっと届いた。しかし11月21日、作業中に炎が上がり一部が燃えてしまった…。


LaserPecker 2 は私にとって初めてのレーザー加工機だったが、高い授業料ではあったものの次のステップを考える上で色々と勉強になった。そもそも目新しさを優先しクラウドファンディングを選んだのが間違いだった…。
ということで予算的には大変きついものがあるが、短いながらもこれまでの体験を元により現実的な製品をと探してみた結果「ATOMSTACK P7 M40」という製品に行き着いた。

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※送られてきたATOMSTACK P7 M40のパッケージ


ちなみにレーザー加工機の選定にあたり重要な事は目的とする材料に鑑み、レーザーの波長帯、レーザー出力そしてルミナスパワーとなるらしいが、私の意図する目的としては刻印は勿論、紙類・合板・アクリルの切断なのでそれらは「ATOMSTACK P7 M40」で問題なくできるようだ。

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※同梱品一覧


「ATOMSTACK P7 M40」より安価な製品もあったが重要な選択肢の中にマシンサイズの問題があった。汎用的な半導体レーザー加工機の刻印サイズは広いものの筐体サイズが500mm×600mmほどでは設置する場所がない…。
その点「ATOMSTACK P7 M40」なら刻印サイズは200×200mmながら本体サイズは382×420×146 mm、重量が2.5kgとかなりコンパクトなのだ。
ただしネットで検索してみても新製品だというこの機種の情報は少なく、日本語の紹介動画なども今のところ皆無なようだが、使いこなせたら少しずつ情報を発信していきたい。
それでは具体的に「ATOMSTACK P7 M40」の主な特長をご紹介してみよう…。

① 組立が簡単
本体は堅牢で全アルミニウム合金のため機械の耐久性が向上し、彫刻の精度が向上しているという。そして85%は事前組み立てされているので理屈がお分かりのユーザーなら開封後30分程度で設置できる。しかしマニュアルは日本語記述がないことや、この種の機器に経験がないユーザーは慎重な組立をお勧めしたい。

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※組立が無事終わった ATOMSTACK P7 M40


② レーザーモジュールに難燃性フィルターパノラマガラス採用
目の安全のためレーザーモジュールに難燃性フィルターパノラマガラスが採用されている。難燃性フィルターパノラマガラスは紫外線の97%をフィルターにかけることができ、利用者はもとより周りの人々もゴーグルを着用する必要はなく、レーザー彫刻の進捗具合を見ることができる。

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※レーザーモジュール部分。先端の青く見えるのが難燃性フィルターパノラマガラス


③ 新しくアップグレードされた超微細圧縮レーザー
レーザーは4倍レンズグループコリメーションおよびフォーカス技術を採用し、電力は40W、レーザーパワーは4.5~5.5W、レーザーフォーカス領域は0.02mm²に縮小され、厚さ10mmの木製ボードを簡単に切断できる。また6~8mmの黒いアクリルの切断やミラーステンレス鋼やセラミックにも直接彫刻することができる。

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※厚さ1mmのMDFボードに愛犬の写真を刻印し四角いフレーム部位をカットした例


④ 幅広い互換性
「ATOMSTACK P7 M40」は、LaserGRBL、LightBurnなどのさまざまな彫刻ソフトウェアと互換性があり、Win XP / Win 7 / Win 8 / XP / Win 10をサポートし、Apple(LightBurnが必要)もサポートしている。彫刻ファイル形式はNC、BMP、JPG、PNG、DXFなど。

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※Macで利用するためには今のところ LightBurn を使うしかないが、とてもよく出来たアプリケーションだ


⑤ 水平ジャイロスコープが装備
水平ジャイロスコープが装備されており、作業中の安全を確保するため傾けるとすぐに動作を停止する。

なおオペレーションはパソコンとUSB接続となるが、ソフトウェアはMacの場合必然的にLightBurnを使用することになる。これは30日間の試用期間を経てライセンスを購入するつもりだ。なおLightBurnのファイルサポート形式は画像ファイルなら bmp/jpg/jpeg/png/gif等、ベクターファイルなら ai/pdf/sc/dxf/svg/plt等と幅広い。

といった具合でスマホから操作できるLaserPecker 2のようにオペレーションも簡単ではないが、反対にLightBurnがメチャ高機能なのでかなり精緻で効率的な加工が可能になる。
例えばレイヤーを別にすることでデザインの一部を切り抜くと共に彫刻を行うことも可能だ。
問題は高機能なだけに使いこなすのには些か時間がかかると思われるが、これまた安全に注意して楽しんでみたい。



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Author:mactechlab
主宰は松田純一。1989年Macのソフトウェア開発専門のコーシングラフィックシステムズ社設立、代表取締役就任 (2003年解散)。1999年Apple WWDC(世界開発者会議)で日本のデベロッパー初のApple Design Award/Best Apple Technology Adoption (最優秀技術賞) 受賞。

2000年2月第10回MACWORLD EXPO/TOKYOにおいて長年業界に対する貢献度を高く評価され、主催者からMac Fan MVP’99特別賞を授与される。著書多数。音楽、美術、写真、読書を好み、Macと愛犬三昧の毎日。2017年6月3日、時代小説「首巻き春貞 - 小石川養生所始末」を上梓(電子出版)。続けて2017年7月1日「小説・未来を垣間見た男 スティーブ・ジョブズ」を電子書籍で公開。また直近では「木挽町お鶴捕物控え」を発表している。
2018年春から3Dプリンターを複数台活用中であり2021年からはレーザー加工機にも目を向けている。ゆうMUG会員